性同一性障害(GID)って?



ここに記載されている性同一性障害とは、私の体験に基づく考えであって、
医学的・学術的根拠に基づいていないことを最初にお断りしておきます。

*GIDとは

一言でいうと、「体の性」と「心の性」の不一致です。
GID(Gender Identiy Discorder)または、MtoF(男性から女性)、FtoM(女性から男性)
とも呼ばれます。ここではMtoFについてお話します。

性同一性障害(MtoF)=男性が女性の格好・振る舞いをする=おかま=変態=
気が狂った人このような公式が一般の人には成り立つのではないでしょうか。

実際、私も残念ながら一部の人たちにはそう思われているようです。
それは大きな誤解です。本当に「体の性」と「心の性」が一致せず、精神的安定を
求めると同時に、女性として生活して行く為に、女性の格好・振る舞いをしています。

心はオンナ、容姿はオトコでも私は性同一性障害だから、女性の格好をして
当たり前は、大きな間違い。自分さえ満足すれば、世間や身内がどうでも良い
といった態度では社会の迷惑になるだけです。残念ながら、そのような人が
存在することも事実です。

本当のGIDの人達は、女性と同等に生きて行けるために、社会に適応しようと
努力をしている人のことを指します。


*GIDという病気に打ち勝つために 

GIDはその名の通り性同一性障害という重い心の病気です。
同時にGIDという名に甘えている人が少なくありません。

当初GIDとは社会に受け入れてもらうものと考えていましたが、女性化を進めて
行くうちにその考え方は間違っていることに気づきました。心が女性でも容姿や
振舞いがある程度伴っていなければ、いくら病気だと主張しても世間の目は
冷ややかです。私が女性として社会生活を送るに連れて、容姿、声、振る舞いが
男性な人は、生理的に拒否反応を起こすようになりました。職場の同僚もトイレで
そのような人を見たとき、気味の悪い女装と決め付けていたほどです。
つまり、一般の人達には、ただ不快に過ぎないだけです。

ブログで当事者同士が集まり、励ましあっているつもりでも、第三者から
みると傷の舐め合いにしか見えないことも少なくありません。
当事者同士「xxさんは女性にしか見えない」などと言っても説得力ゼロであり、
人の性別を判断するのは、GID以外の一般の人たちです。

この世界、認めてもらうよりも、認めさせるという姿勢を持つ事です。
その為には、容姿だけでない総合的なオンナとしての実力を付け、
相手に認めざるを得ない状態に持って行く意思と行動力が重要です。

たとえ性同一性障害の診断書があったとしても、中身が伴わなければ、
世間には相手にされません。ゴミ扱いで終わるだけです。厳しいようですが、
努力は評価されず、結果が全ての実力の世界です。

また不屈の精神も要求されます。
誹謗中傷、悪意に満ちた態度を取られる事もあり、
GIDという病気に打ち勝つには精神的に強くあることが必要となります。
わずか一部の、弱肉強食の強者のみが生き残れる世界とも言えます。


*GID(MtoF)は同性愛なのか

「女性になる=男性を好きになる」
ごく当たり前の公式ですが、MtoFの私たちにとっては、必ずしもそう限りません。

ゲイと呼ばれる人たちは、自らは男性であることを認識しつつ、性の対象が同性で
ある男性、つまり他人に対して、向いているのに対して、GIDの私たちは性認識が
自らに向いていることが大きな違いです。

恋愛対象は、女性のまま、結婚している場合は今まで通り、奥さんである場合
もあり、勿論女性として最初から、若しくは途中から男性に目覚める方と様々です。


*突然告白されたら

ご主人や彼氏を心の底から愛されていたら、時間をかけて、一番の相談相手に
なってあげてください。本当にGIDとして心から悩まれているのか、単に女性の
服や下着を身につけ性的快楽を求めているだけなのかが、分かるはずです。
お互いに心から愛し合っていれば、現実を見抜く事は難しくありません。

カミングアウトを行うことは、結婚していれば、離婚されること、家庭崩壊の
危険性を十分に考えた上行っているということです。

そして、すぐに理解しよう、してもらいたいといった態度は極力避けてください。
気持ちは分かりますが、お互いにプレッシャーになり、将来的にも受け入れられ
そうなものも拒絶されるからです。焦らず気長に構え下さい。童話、「3匹の子ぶた」
のように時間はかかっても、レンガを一つずつ確実に積み上げてゆく感じです。

離婚されたい気持ちは分かりますが、まずは、二人と家族に与えるマイナス面
をどうプラスに転換できるかを、提案して考えることが大切だと思います。


*女性としての外出(初期段階) -女子から好印象を得ること

私が外出する際に一番気を付けている事は、いかに目立ちすぎることなく、TPOを重視し、
女性達に同化するかということ。そうすることにより、パス度はアップします。

昼間であれば、少し地味かなといった程度が良いみたいです。
時折外出経験の少ない方は、顔に合っていないウイッグ、前髪ぱっつん、小さな花柄が
ちりばめられたワンピなど、一般女子には見ることのできない女装初心者のような
ダサいファッションを見かけますが、あくまでもお洒落にという意味です。

彼女達の違うのは、スカーフ、ネックレス、ペンダントなどでアクセント付けを
する事が多いです。服が地味だからこそ、アクセが格好よく見えるのです。
また、このセンスが良いとお洒落に見られ、より女性っぽく見てくれます。
そうすることによって同じお洋服でも、上手く着回しが出来ますからね。

トランス開始1年未満のある日、知り合いの女性とランチをしました。
5ヶ月前と大きく異なる私の姿を見て最初は、「えー」と驚愕する程の反応でしたが、
ごく自然に女性と見えたと、第一印象を語ってくれました。
たとえお世辞でもすごく嬉しかったです。

これは私の服装やお化粧がごく自然だったため、まだまだ男性的要素を多く残した
私の悲惨なお顔より、そちらの印象が強かった為だと思えます。

まずは良い第一印象を与えたことで、その後の会話も私の女性化にも好意的でした。
少なくとも拒絶はされなかったようです。
女性はお話好きです。

彼女がオフィスに帰った瞬間から、私の話が出ているかもしれませんが、ここで好印象の
場合は、他の人にもそれが伝わるため、結果的には狭い社会でより、
女性化を進め易くなります。

こう記述すると常に地味な格好が奨励されるように思われるかもしれませんが、
あくまでもTPOとコーディネートが大切なであり、派手な服装が悪いという事ではありません。

私もたまには派手な感じでお出かけする事がありますが、どこか一箇所でも可愛さを
添えるなど何かのアクセントを付け、嫌味にならないようにしています。


*男性と女性の視点の違い (外出時の注意点)

魅力ある女性として歩きたい。その結果、セクシーさに重点を置いてしまうことが、
初期の外出時に見られる場合があります。実際に私も最初はそうでした。

いくら綺麗にお化粧して、お洒落な服を着て歩いていてもそれが、TPOに合っていない、
女性でもそういった格好をするのはほとんどない場合は、逆にリードされます。
つまり女装者と見抜かれるということです。

実際に私の同僚も前延の理由からすごく綺麗な人だったけれど、それからあら探しをし、
その人が女性じゃないと見破ったことがあります。また、心理カウンセラーの先生にも、
ここに来る人は、私達女性がしないような格好で来る人が時々いるけれど、一体何を
考えているのと、不快感を示していました。

男性から見るとお洒落でセクシーでも、このように女性からは好感は持ってもらえません。
これはどこから来るかというと、男性からみたセクシーさと女性からのそれが大きく異なるからです。


*RLE(リアルライフエクスペリエンス)

実際、SRS(性別適合手術)により肉体的にも女性を目指している人たちには、
性別の移行期間として、実際に女性として生活をして行く必要があります。

それが上手く行くかどうかによって、女性としてのその後の人生に大きな影響を及ぼす
にも関らす、SRSを終え、改名と同時に性別変更を行えば女性として生活出来ると勘違い
している人がいるようです。

女性として扱ってもらうには、女性に見える見た目は勿論大切ですが、それだけでは
到底無理です。あるGIDの人とお会いした時、その人はスカートを穿いているにも関らず、
ベンチに座ると大きく足を開いていて、私には女装子さん以下の存在にしか見えませんでした。
また他の仕草も男性そのものだし、私が気にしている体のある部分を指摘したりと、
デリカシーの全く欠けた言動は、女性同士の会話ではありえないことで、その人は女性として
お情けなしに社会生活を送るのは100%無理と言い切れます。

容姿はお化粧で誤魔化せるようになっても、仕草や声など長年染み付いたものを変える事は
容易ではありません。近道は、女子の中に積極的に入っていって、揉まれるのが一番です。

特に気になるのは、声や話し方が意外と軽視されていることです。
更に大きな喉仏の存在。それらが軽視されていると、女装子さんと同様に見えてしまいます。

また、RLEは女性としての見た目、仕草、振る舞いなど当事者自身のスキルアップを図るだけ
では不十分です。女子達の輪に入ることにより、男性社会にない独特の考え方や行動などを
知ることも大切です。男性のように発言はストレートでなく空気を読む力が求められ、協調や
調和も重視されます。

普段は男性として働き、週末に女子として生活しているだけでは、決して分からないことが
多いものです。女性として生きていく事は、想像以上に難しく、短期間にして習得は出来ません。
つまり、真剣に取り組まないと身につかないものです。更に傷の舐め合い傾向にある当事者
同士の交流は、トランスの弊害にもなりかねません。

性同一性障害治療に関するガイドラインにも移行期間として、二年間が設けられているのも、
女性ホルモン値以外にも、そのような理由からです。

このような女性としての生活を送ることで、本当の女性としての風格が付くのです。
最初はきついですが、見よう見まねを重ねてくると、不思議と身についてきます。

とにかく、「女性社会で揉まれる事」につきます。
一番の近道は、過去を隠し女性として働くこと。私が最後に取った方法でした。


*カミングアウトを終えて - 男女間の受け入れ方の違い 

私の経験では女性は、女性名で呼んでくれたり、これ面白いよって、ファッション雑誌を
持ってきてくれたりと、こちらが、TPOに合った格好・振る舞いをしている限り、
理解を示してくれることが多いです。

女性は「感受性」が発達しており、新しいものでも、自らの生理にに反しなければ、
理屈を捏ねることなく、フィーリングで受け入れてくれる能力を備えているからです。

それに対して、保守派、拒絶派というのは、男性に比較的多く見られます。
理解しようとはするけれど、精神的に受け入れられない状態の人もいますが、
ある意味仕方のないことです。

男性はかつてなかったものが現れると、過去の経験から「考えて」、どのようにその新しい
ものを受け入れようかと試みるため、非常に時間がかかります。また、どちらかというと
自らの常識内にない存在を受け入れるのは、苦手な生き物です。
そのためか、完全拒否する人も少なくありません。

私の場合、女性からは「見た目が変わっても中身が同じだったらいいよ」と優しい
言葉をかけてもらったことがありますが、男友達からは女子度の向上に関係なく、
キモがられて、全滅状態と言っても過言でありません。

このようにカミングアウトは、それまでの人間関係が崩壊するリスクが大きいことも
念頭に踏まえてください。


*トランスを成功させるには

元男性であることを忘れるくらい、社会の中でひたすら女性として揉まれることです。

在職トランスである程度の自身を付けたにもかかわらず、誰からもパス出来るかは
不安でした。そこで私は過去を一切隠し、女性としてある職場へ潜入しました。
最初の一週間は、声、話し方や仕草など不安の連続でしたが、バレたらバレた時、
失敗を恐れずに、あくまでも練習の場である気持で、将来の成功した姿のみを
イメージして臨みました。

カミングアウトせず女性たちと対等に渡り合うことは、時には苦しく、過去がばれそうな
危険性が伴いましたが、危機的状況でをどう乗り切るかなど、生きていくに当たって
非常に勉強になりました。

当事者同士の交流は同じ悩みを共有しているという部分で力強い存在かもしれませんが、
私の場合は疎遠に努めました。女子の輪に上手く溶け込むことが出来、過去を忘れて
いても当事者と接する事で、嫌でも自らの過去を再認識させられてしまうからです。
トランスが進んでくると、当事者の人の考えが理解できなくなってきた要因も大きいです。

その様に徐々に自信を高めていくと、華やかなイベントの表舞台に積極的に出たり、
そこでの評価によりさらに自信を高めることが出来、司会を依頼されるようになりました。

ここまで書くと全てが順調に思われますが、女性として目立ってゆくにつれて、
一部の女子からの冷たい態度、嫉妬や陰口など、嫌な思いをする機会が増えて
いきましたが、女子力が上がった証だと都合よく解釈することにしました。

トランスの発展途上では、男性の部分が少しでもあるのがイヤで、女子よりも女性らしいと
言われたことがありましたが、今は逆に元男であるがゆえに、一般女子には出せない
面を出すという逆転の発想を取り入れたりしています。結果、カッコ良いと言われることが
あり、ある意味女子力が上がっているのかもしれません。大切なのは男である過去に
とらわれる事なしに、自らの持つ良さをどうすれば最大限に引き出せるかを考えることでは
ないでしょうか。

***今後、項目を少しずつ増やしてゆきたいと考えています。

                                               まりな
                                               
           
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