女性ホルモン

私が半年間服用した、個人的観点からその危険性、及び私に与えた影響に関しての記録に
基づいて述べたものです。

まず、服用しているお薬は、日本ではプレマリンと呼ばれているもの(エストロゲン、
女性ホルモン)、アンドロキュア(抗男性ホルモン)の二種類で、医師の管理下にあります。

現在はネットで簡単に手に入るため、軽い気持ちで手を出される方も多いと思います。
多くのHPにも、肝臓に負担がかかる、服用半年程度で、不妊になるため、安易な気持ちで
服用しないようにと書かれた、文章を良く見かけます。
実際、その通りです。まずは、それらの症状について、私のケースを挙げて検証してみます。

最初の頃はベッドに横たわると、肝臓のあたりに違和感を感じ、おクスリの負担が、
かかっているようでした。お酒も服用前と、同じ量を飲むと、肝臓が痛んだり、
深酒してしまった後は、何日にも渡って、内臓に異常な状態が続きます。
これまで、ビールやワインは、水代わりと考えていたものを考えを改善し、お酒の量を
減らすことにより、それらの状況を改善できました。

次に、血栓症と言って、血管が詰まりやすくなり、痛みも伴います。
私の場合は、軽度で済んだものの、最悪の場合は脳の血管が詰まることもあり、
軽視できるものではありません。

男性機能に関しては、個人差があるものの、半年程度で、不妊の体になるようです。
しかしながら、半年間は大丈夫だから、とりあえず始めてみようでは、大変なことになります。

私は一月目から性欲が大きく減退し、すでに射精が出来なくなり、性器の勃起もほぼなくなって
しまったほどです。半年経った今では、エロスに対してさえも、何も感じなく、性的な楽しみが、
なくなったと言っても良いほどです。
今後考えられる解決法は、対象が、男性に向くことにより、復活する可能性があるくらいです。

そして、女性を異性と感じなくなることです。
射精する快楽を残したい、女性に女性として扱われ、性的快楽を求めたい、女性の
ような胸が欲しいだけであれば、おクスリの服用は、取り返しがつかないことになります。

さて、ここからが、私が本当に述べたい核心部分となります。
実は、ホルモン投与は、肉体的な副作用以上に、もっと恐ろしいことが、待ち構えていました。

私が半年間服用して、最も強く感じたのは、肉体面ではなく、精神に与える打撃の大きさです。

私は、高校時代の運動、サバイバルな旅、海外での一人暮らしで、精神的な強さに関しては、
自信があり、正直、うつ病にかかる人の存在が、不思議でした。
しかしながら、その私も、鬱状態、睡眠障害、パニック障害などと、ついに各種の精神的ダメージを
受けることになっていました。

肉体的な変化よりも、脳内変化がより加速的に進むため、心はより女性に感じるにもかかわらず、
顔が女性らしくないなどと、そのギャップに、私の場合は苦しんでいます。そのギャップは、
ホルモン投与の時間の経過とともに、ひどく感じます。小振りだけれど、胸がある、男性としての
機能はすでになくなっている、それなのに顔は男性のまま。最近は自らの性別が分からなく
なってきています。

社会的にも女性として生きてみたい、しかしながら、女性でもない顔の醜さから、
自らそういった試みさえ、閉ざしてしまいます。
それが、原因で最近では、ふとした瞬間に、死を考えることがあるのも事実です。
現在まで、実際に自殺を図るには、至っていないものの、今の精神状態では、楽観視出来ない
状況です。昨夜も、そろそろ生きるのをやめようかと、窓から外を眺めながら、
しばらく考えていたほどです。

私の場合は、自らの肉体的変化の乏しさが、精神状態をボロボロにしている要因ですが、
精神面での破滅といった観点では、社会的、家族のことが原因で、引き起こされるなど、
人さまざまです。女性として仕事をしたいが、会社側、自分側の要因により、男性として出勤する苦痛、
家族に理解してもらえないなど、少なくとも、これらの3つのどれかにより悩み、死にたいと思うほど深刻な
状況に追い込まれている人も少なくはありません。

私はこれらのことを決して大袈裟に書いたつもりはありません。
ありのままを客観的に述べたものであり、これが現状なのです。

繰り返しますが、ホルモン投与は、精神健康上、加速的に大きな害をもたらします。
肺がんの恐れが出てくれば、タバコを止めればいい、肝機能に問題が生じれば、お酒をやめ、
食事療法を取れば、それなりの回復は望めます。しかしながら、一度壊れてしまった、精神に
対しての治療法は、そう単純なものではなく、回復には非常に時間がかかるものであることを
忘れないで下さい。

ホルモン投与を考えている方は、そのような最悪の事態も想定した上で、始めるようにしてください。
私は大丈夫。そう自信があった私でさえ、現在、精神的崩壊状態にあるのですから。

そして、いざという時に相談でき、心から心配してくれる人が、近くにいると、かなり違ってきます。
私が、まだ存在しているのも、そういった人に、支えてもらっているからと断言出来ます。
これは医師の管理下で治療を受けていても、頼りになる程度は、医師と比べ、
桁違いに大きなものがあるからです。

女性化の道は想像以上に厳しく、そのような状況を、乗り越えることが出来た人にのみに、
輝かしい、本当の女性としての将来が待っているのです。

最後に、私にもたらした肉体的、精神的な変化を一覧に表しておきます。

年・月 経過期間 変化内容・症状
2007.12.29 1日 ホルモン服用開始
2008.01 1ヶ月 体のだるさを感じる。
胸に触れると飛び上がるほど痛みを感じ、乳腺炎を心配する。
胸が腫れたような感じ。
ヒゲの伸びが遅くなる。
性的欲求が弱くなる。
性交渉を行っても、射精しなくなる。
02 2ヶ月 肌が少しきめ細かくなる。
胸が無乳から、AAカップに。
突然悲しくなり、涙が止まらなくなる。
血栓症みたいな症状を感じる。
03 3ヶ月 胸がAカップになり、階段の昇り降り、早足で歩くと胸に違和感を感じる。
ブラを常時着用するようになる。
突然、悲しくなり泣くことが多くなる。
鬱状態が続く。
性交渉を行うことが、非常に物理的に困難、精神的に苦痛となる。
04 4ヶ月 仕事中にも、感情をコントロール出来なくなり、涙が止まらないことも。
自らの顔の変化の乏しさに焦りを感じ始める。
偏頭痛の発生。
憂鬱な状態が、ひどくなる。記憶が飛ぶことも。
05 5ヶ月 筋肉の脂肪化により、力が弱くなったことを感じる。
男性としての性交渉が、不能になる。
06 6ヶ月 涙を流す回数が減り、一時的に、鬱状態が少し改善したように見えたが、
すぐに鬱状態に戻る。
胸はBカップになり、成長が止まった様子。
夜に不安になることが増え、一晩に必ず2,3度は目覚め、何時間に
渡って眠れないことも。
具体的に死について考える。
仕事上、これまで乗り越えられた困難に弱くなる。
思考回路の変化を感じ、仕事にも支障をきたす。
仕事にも、薄くでも、お化粧をしないと、精神が落ち着かなくなる。
07 7ヶ月 変化の乏しい外見に焦りを感じ、それが原因で、鬱状態が悪化し、
パニック発作を引き起こす。
男性に対して、魅力を感じるようになる。
完全な、乾燥肌になる。
自らが、男性でも女性でもなく思える。
08 8ヶ月 ストレスから、顔つきが少しきつくなったような気がする。
精神的不安定さからか、睡眠が不足しがち。
偏頭痛を伴う日が目立つ。
この世が暗黒に思え、全てが嫌になって来る。
09 9ヶ月 8月末に絶望のどん底までに落ち込んだことにより、
これ以上恐れるものが無くなり、少し精神的に回復。

ヘアスタイルによるが、女性としてパスすることも。
10 10ヶ月 胸がすごく敏感になっていることを発見。
またお顔に自信が持てなくなる。
11 11ヶ月 体質が冷え性に。
下半身の女性化に伴い、体重の大幅な増加。
12 12ヶ月 女性としての社会生活に対する抵抗が少なくなるが、
精神面では、まだ不安定な状態。
2009.1 1.1年 精神的には、これまでになく安定。
02 1.2年 声に対するコンプレックスが現れる。
05 1.5年 改名を行い精神的に安定する。
11 1.11年 体調不良によりアンドロキュアを止め、エストロゲンのみ服用する。
04 2.4年 男性ホルモンが戻りつつあるのか、女性ホルモン服用後になかった夢精のようなものを体験してしまう。アンドロキュア停止後5ヶ月。
05 2.5年 硬くなることがなくなっていた男性器が、復活しつつあるような状態。 
上半身の女性化に反比例し、精神的苦痛がより増す。
07 2.7年 アンドロキュアを服用することなくても、体が男性化することがなるなる。
09 2.9年 イベントなど目立つ場所に出るのが楽しくなる。
GIDとしてでなく、女性としての悩みが増えてくる。


             

                              

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