(2008.03.01-2008.04.30)

38

今年二度目のまりなとしてのお出かけ。
お洋服を買うため試着をする必要があるから。

最初の目的地は前回と同じスーパー。
今回は少し精神的に余裕があったのか、普通に振舞うことが出来たかな。

パートナーのいる鮮魚売り場に行くと、お魚を注文している例の知り合いの存在。
今度は半ば開き直りもあり、自ら彼に近づき、挨拶しました。

すごいイメチェンですねと、言われた後、実はこういうことで、こんな格好をしていますと説明をすると、
人それぞれ別にどうでもいいんじゃないですかと、クールな一言。

さすがは、開放的な西海岸に長く住んでいただけあるなと、少しホットした。
でも、別に女装くらい構わない程度の響きが、引っかかったな。

私としては女装しているつもりはないんだけれど…



314

胸に軽く触れただけで飛び上がるような鋭い痛みはなくなったけれど、階段を下りたり、少しでも早足で
歩くと最近、胸が痛いの。

ネクタイをして、ジャケットを着てお客様のもとに向かう途中も結構苦痛だった。
その方のオフィス近辺は銀座のようなところで、私は高くて買えないようなお洋服が、ウインドーに飾られていて、
本来ならしっかりとウインドーショッピングもする予定だったのに、
胸が痛くてそんな余裕はなし。

結局歩きながら考えることは、そろそろブラを常時着けないといけないかな、なんて。

ようやくトップとアンダーが10cm程度でAカップになったけれど、ブラが必要なほどの大きさでもないし。
でもこのままだと、日常生活にも支障が出るし…

うーん、どうしたらいいの。



317日

今日から思い切ってブラを着けて出社することに。
少なくともこちらはまだ冬で厚着ですからね。

ハーフカップでカップ部分も少し硬いから、保護機能もあって快適なの。
黒に白の水玉地に赤い薔薇が散りばめ、カップ上部にはレースが施されていて、すごく可愛いデス。
モチ、上下セットです。でもショーツはお尻をほとんどカバー
していなく、ちょっと寒かったナ。しかも生地も薄いし。

先週までの不快な思いがウソのよう。これで、混雑した場所で、反射的に胸を掴むようにして、保護しようといった、
周りから見ると変な癖が取れそう。



322

最近の私の心は梅雨状態。つまり泣かなかった日がほとんどないほどの日々。

そんな私を励まそうと彼女は二人の共通の急遽お友達を集め、ちょっとしたホームパーティーを開いてくれたの。
お友達は、彼女を通して私がおクスリを始めたことを知っていることもあり、あえて「まりな」としてみんなを
お迎えするのは、大きなストレスがあったのですが、彼らに本当の私を知ってもらおうとそうすることに。

最初はみんなに絶対キモイと思われているだろうなといった不安が頭からは離れず苦痛。
ワインのおかげで少しリラックスした頃、誰かが今日はクリスマスみたいだねといった事から、セリーヌ・ディオンの
クリスマスソングとキャンドルで雰囲気を盛り上げました。

そして、しばらくして何気なくお外を見ると粉雪が舞っている。
こんどはみんなで枯れ木を集め、暖房を止め、久々に暖炉に火を灯し気分はちょっとしたホワイトクリスマス。
ちょっぴり、ロマンチックな「まりな」のお披露目に。

この場を設けてくれたパートナーの愛情と、暖炉の炎により心を温められた私は、昨年夏に「まりな」としての
道を歩もうと思って以来、この日初めて心の底から笑うことができたの。


そしてこの日のために彼女が準備してくれたメニューは下記のとおり。
もちろん私もお手伝いしました。

                          アペリティフ
                             *
                        なすのプチラザーニャ
                             *
                  サーモンとじゃがいものキッシュとサラダ
                             *
                         きのこのリゾット
                             *
                3色レタスサラダとグリーンアスパラガスのソテー
                             *
                   メルルーサのグリル 白ワインソース

                            または

              サーロインステーキ ロックフォールチーズソース
                             *
         アイスクリーム(ティラミス、ホワイトチョコ、ブラックチョコ)_既製品(^_^)
                             *
                     コーヒーまたは紅茶、プチガトー
                             *
                           食後酒


なかなかのボリュームでしょう。軽く3時間は食事にかかっちゃった。
本当に優雅なひと時。

これを見てくれている未来のお友達とこんな風にお食事をしたいナ。
こんな夢をまりなはひそかに持っています。



3月29日
そろそろ髪の色が汚くなってきていたので、また茶色に染め直したの。
実は先週も染めたものの、いつものカラーリング剤がなく、似たものを試したら、少し色が濃く出たのね。
おクスリを始めたとはいえ、まだ髪質は元の姓のままで、強いから結構平気だったりして。

でも残念ながらブリーチしなかったので、少し薄くなったくらいかな。
さすがに今度は少し髪が痛んだみたいなので、夏までは何があっても我慢することに。



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私はまだお顔も、お胸もどこもいじくらず、おとなしくおクスリのみに頼っている状態。
でも女性に近づくために、どこか体をいじくりたい。
そんな願望が日増しに強くなっていた私。

お金も勇気もない私に出来ることを考えていたら、一つだけあったの。

それは耳にピアスの穴を開けること。
会社勤めをしている私くらいの年齢で開ける人はいないと思うけれど、ヨーロッパでは、生後すぐにピアスをする
習慣があるくらいで、お店にも可愛いものがたくさん
あふれています。

決めたらすぐに実行。そして、今日会社の帰りに開けてきました。
今は地味なシルバーのファーストピアスが、両耳にあるだけだけれど、夏のことを考えたらすごく楽しみ。

ピアスをしたいけれど、穴を開けるのが痛そうと思っている人も結構いらっしゃるようだけれど、痛みはほんの
一瞬。予防注射程度で、採血よりもずっと楽でしたよ。ただ私は直後にビールを飲んだこともあり、
後から少し痛みを感じたから、お酒は控えてた方がいいかもね。



4月6日

北日本を除いた地域はそろそろ桜のきれいな時期なんでしょうね。
ここでは桜を見れません。でも、私にはそれでよかった。

私は最後に桜を見たのは4年前の今頃でした。
なぜなら、桜を見るとふとあの日のことを考えてしまうから。

当時汚いオジサンに向かっての道を歩み始めていた私でしたが、職場の人たちと行ったお花見がきっかけで、
ある女性が私に特別な思いを抱いてくれました。

当時私は自らの性の問題などもあり、パートナーとは別居中で、離婚のタイミングを待っているだけの
状態でした。そんな時に、めぐり合った人。
可愛いけれど、いかにもお姫様タイプで、性格もなんかわがままそうで、
(私もわがままで人のことは言えないかな。)正直私には
何も感じるものがなかった。
でもね、人ってじっくりと向き合って話すまでは、
分からないものですね。
実は育ちが良く、すごく教育が行き届いているお嬢さんで、
私がかなり誤解していたよう。

そんな罪悪感もあり、私からデートに誘うようになり、最後はあるショットバーで私から告白させられていました。

男性として生きていくことを宿命として、彼女を守って、これから新しい人生を送って行こうと、女性化の道と
決別することに。

長くなるので、続きは次回にお話しますね



4月8日

(前回の続き)
人生って、残酷に思えることがあります。
私がどうしても元パートナーのもとに戻らなければならない事態が発生。
勿論それは関係修復のためではなく。

最初は半年後には帰る予定だったので、パートナーとは毎日末期状態の喧嘩が絶えなかったものの、
もうそんなことは正直どうでも良かった。

それに時々、夢の中で彼女が出てきて、バラ園をデートしたり、洒落たカフェでアフタメーンティーを楽しんだり。

そして、いよいよ帰国の目処が立ったものの、まだ帰れない事態が発生し、滞在を延長をせざるを得ません
でした。今度こそはいよいよと飛行機の予約も入れて、この国が気に入っている元パートナーを残して、
私の新しい旅立ちに出ようとしたところ、突如体調を崩し、また延期と災難に見舞われてしまったのです。

正直私は何かに呪われているようにも思えたほど。

そして、この頃よりせっかく女性化をあきらめていた固い意志も揺らぎ始め、私に限界が来ているのを感じました。

そんな時、仕事が少し落ち着き精神的に余裕の出てきた元パートナーの勧めで、ゲイやトランスセクスアル
のための相談所に、重い足をあげ向かいました。自らとの戦いもあり、その時は2,3回で通うのをやめ、
再開したのは去年でした。

その間一人で暮らす期間が短いながらもあり、自らを第三者の目で見つめなおす機会に恵まれました。
その結果、お花見で仲良くなった彼女と一緒に将来なんて到底築いて行っても、またいつ女性化願望が出てきて、
また家庭を崩壊させたくないと判断し、断腸の思いで、彼女のことを忘れることに。

本当にごめんね、由貴ちゃん。
今度普通の男性として生まれ変わることがあれば、ぜひ二人でシアワセな家庭を築きたい。

短い間だったけれど、私に自信を与えてくれえありがとう。

この日記を見てくれることはないと思うけれど、銀河に浮かぶ小さな星のなかから、見つけるくらい可能性は
低いけれど、何もしないで永遠に発見されないのも悲しいから、ここに書き留めておきます。

お幸せにね☆
そして、さようなら。



4月12日

パートナーのお供でアクセのお店を覗いていたら、あるブレスレットが私を呼んでいたの。
ゴールド、ピンク、オレンジ、ワイン、ブラックの細いメタルリングが、それぞれ、2本ずつ連なっていて、
パール効果でキラキラと輝いているそれ。

いつの間にか私の目もキラキラ状態?になっていたせいか、彼女がプレゼントしてくれたの。
帰りの運転では、ハンドルを切るたびに10本のリングが優しく、シャラシャラと心地よく響き、なぜか
心が落ち着きました。

その夜理由が分かったの。
それは母なる海の波の音、ひょっとして胎児の時に聞いていた音に似ていたのかもしれないと…



4月19日


先日初めてネックレスを買ったの。
首周りには何の飾りもないことに気づき、ゴールドにダイヤのようにカットされたビースが散らばった、
ディスコのミラーボールのようなネックレスをゲット。

また光り物。どうも私自身が輝いていないから、そういったものを見ると気持ちが、癒されていくよう。

これが今の私なりのセラピーかな…



4月21日

お昼休みに社内でサンドウイッチを食べていた突然悲しくなった。

ちょうどほとんど誰もいないこともあり、気が緩み気づくと涙が少し零れてきちゃった。
以前仕事中に同じようなことがあったから、自己防衛策として、目尻にアイラインを塗るようにしているのも、
これじゃ意味がないと思って、頑張って30分後に何とか止まった。

ようやく平常心を取り戻した私は、午後のお仕事中に、その日の朝にまりなのことを知っている、男性の
お友達から帰りに家に寄ってこないと、お誘いしてもらったことを思い出したの。

すると、今日のお洋服は春らしくない、コスメーポーチを持って来なかった、そんなことを考え出すと、
また悲しくなってしまった。

今は仕事中なんだからと涙が出る出ないの微妙な間で、仕事に集中するように努めたけれど、
ついに終業1時間前には、耐えれなくなり、断続的に出てきてしまったの。

それでもみんなに気づかれないように、振舞ったり、電話では出来るだけ愛想のある声でお客様と話したり
していたけれど…

いつも遅くまで残っている支社長が、まだ帰らない私を見て、仕事が終わらないのと私に聞きました。
まだもう少しですとしか言えなかったけれど、本当は頭痛がひどく、体が冷え、血の巡りも悪くなって
いるためか、歩行も困難になっていて帰れないだけだった。

こんな時誰か話せる相手がいればどれほど、気持ちが楽になったんだろうと痛感。

この日記を見てくれた人で同じような悩みがある人がいたら、遠慮なしにメールを下さいね。
もう貴女には一人で苦しんでもらいたくないの。

そうあなたは一人じゃないのよ。

正直その日はどうやって帰宅したのか、記憶が飛んでいます。

4月22日

昨日から取れない強烈な偏頭痛。

自分でも情緒がかなり不安定になっているのが、はっきりと分かるほど。
朝からも自分勝手なわがままで、パートナーとも喧嘩をし、彼女にはもうあなたには愛想が尽きたと、
異常なまでに冷静な声で一言、私に告げ職場に向かってゆく彼女。

オフィスに着いてからも、書類の文字が記号にしか見えないくらいひどい状態で、このままでは
大きな失敗をする確立が高いこともあって、午前中に緊急のものだけを終え、ヒンシュクを買いながらも、
早退することにしたの。

そりゃそうよね。当日理由も言わずに、突然帰りたいなんて言うから。
でもその時はもう私が私でなく、正直どうなってもよい気分だった。
もうこの世に存在しなくてもいい、そう思ったほど。

帰りにパートナーにお詫びの気持ちも込めて、アクセサリーでもプレゼントしようと会社の近くのデパートに
向かいました。

化粧品売り場を通り抜け中、おねえさんに声に呼び止められ、足を止めると、
「いまプロモーションをしています。お化粧教室も開催していますから、ぜひどうぞ。」だって。

なぜ?今日のファッションは完全Mモードなのに???ひょっとして女性に見えたのかな…

あまりにも???だったので、ビラをもらったお姉さんに、一言ありがとうと言ってそこを立ち去ったけれど、
後で考えるとちょっぴり残念なことをしたかな、なんてね。

でも少し嬉しかった。ありがとうね、おねえさん。




    ..........      


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