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(2008.11.01-2008.12.31)

11月3日      招かれざる訪問者

今日は会社を休んじゃった。
昨晩、あることが脳裏から離れず、ようやく、わずかな時間の眠りに
ついたと思ったら、最悪の目覚め。
頭痛、めまい、不安、息苦しさに襲われたの。

そう、パニック発作というやつ。
近頃は、今日のような重い症状がなくて、安心していたらすっかりやられちゃった。

最近、自分のことが、おかまに思えることがあり、昨夜はもう一人のわたしに、
おかまと言われ続けたことが、原因みたい。

先週は、半年以上ぶりに会社を訪れた元同僚、一年半以上もお話をしていなかった
知り合いと偶然電話で話した時、それぞれが、私の女性化を知っていたみたいで、
予想以上に私の噂が、広まっている印象を受けたし。

私の顔を見た人たちは、綺麗になったねと、言ってくれるど、あくまで社交辞令。
内心は、何、このおかまと、思われているんだろうな。ヨーロッパの日本人社会は、
非常に閉鎖的かつ、恐ろしい世界だから。



11月4日      ニューハーフという世界を知って

ニューハーフとして、生きていく手段を知った時は、まだネットがない時代。
それなりに調べてみて、どこかのお店に入って、女性ホルモンを入手して、
タイに行って手術をすればいいか。それには、まず新宿で働かないと。
多くの人同様にそう考えた。

当時学生だった私は、卒業したら、どこかの企業の駐在員として海外で活躍している
青写真を描いていたけれど、そんなことは段々、どうでもよくなってきていた。
元々、サラリーマンなんて興味がなかったし。
むしろ、女性になったら、銀座で働けるくらいまで頑張って、小さなお店を持ちたいなんて、
より具体的に、また真剣に、考え始めていたの。

ところが、私の体のある部分には、致命的な欠陥があることに気付いたの。
私の商品価値が、大きく下がることは間違いない。そう思い込むと、急速に女性化の
夢と合わせて、消えていってしまった。

正直、その欠陥さえなければ、もっと早く女性になれたのにと思うこともしばしば。
テレビで飲み屋さんなんて登場するシーンがあると、私のお店はこんな感じかなと
想像することも。

私が欠陥だと考えていたことは、果たして重大なことだったのだろうか。
それって単なる逃げだったかもと、最近は考えることも。

今でも時々、なぜ会社勤めという道を選んだのと、わたしに問いただすことも。
でも、それで良かったのかも知れない。

その時の私は、怖いもの知らずというか、世間知らず。
多分、悪い人に騙されて、どこか外国にでも売り飛ばされていたかもね。
そんな予感がする。

結局、予定通りに、海外駐在員となってしまった私。
私は、暗黒時代への扉をくぐってしまったの。



11月8日      お買い物しながらプチ変身

今日は久々に、お天気の良い暖かい週末だったので、コートなしの、
セーターとスカートでお出かけ。

ブーツを探しに行ったものの、あまり気に入ったものがなかったの。
赤い靴も欲しかったので、一緒に見ていると、いいなと思えるのが何足かあった。
ヒールの高さで迷ったけれど、ローヒールのものが、より可愛く、そちらをゲット。
お仕事にも楽だしね。最近は靴に対する抵抗感も薄れて来ているし。

偶然、レンガ色のセーターを着ていたので、その場で靴を履き替えたら、
プレーンなストッキングが、寂しいような気がした。すると、靴屋さんの
すぐ近くに、靴下専門店があったので、今度はストッキングのチェック。

黒にグレーのリングが散りばめられて、シリコンが入っている付け根部分は、
薄いグレーの可愛い模様。それを選んで、近くのカフェで履き替えちゃった。
(左の写真の足はグレーに見えるけれど、実際は右の写真の通り)

白のグラスワインで体を温め、新しい靴、ストッキングに包まれた足は
とても足取りが軽く、その後のショッピングもいつも以上に良かった。
お買い物しながら、少しずつ変身するのも結構楽しいものだな。





11月9日      ここまで変わるお顔

眉毛だけを描いて写真を撮ってみた。
どう見ても音楽やっていますといったM顔。
ハードロックの聴きすぎかな。



いつもは、これにチークとグロスを塗り、髪をアップにするだけ。
それなのに、どうしてこれだけ印象が違うんだろう。
昨日もそれで、普通に試着室やお手洗いを使っていたのに。

一年前のオヤジ臭い顔よりはマシかな。
でも、どこを整形すれば、女性らしくなれるんだろうかと、
しばらくの間、固まってしまった。



11月10日     カミングアウト2

今日は昨年8月以来、顔を合わせていない、顧客と会う約束があったの。
もちろん、病院に足を運ぶ前の、100%Mモードの私しか知らないし、
メールと電話では、以前のように振舞っていたから、私の秘密は分からない。

これまでFモードで会いに行った顧客は私の過去を知らなったから
良かったものの、今度は私を結構悩ませてくれた。

上司同伴だったのが、気にはなったけれど、私のことをすごく信用して
くれている人たち。欺くのも嫌で、結局はFモードで会いに行くことに。

2ヶ月ぶりにアイメーク(マスカラのみ)をして、赤いコートと赤い靴で待ち合わせ
場所に向かい、先に着いていた上司に挨拶すると、私におはようと返す前に
「もう完全に女性だね。」と、言われちゃった。
すっかり、呆れられていたのかな。

しばらくすると顧客一行が到着。
会長さんに説明したら、私の姿にかなり驚いていたようだけれど、
すぐに気持ちを切り替え、今度は同行の人たちに、
「彼女は最近まで男だったんだよ。信じられないだろう。すごくきれいだろう。」と、
大きな声で言うものだから、そばに居た関係ない人たちも私の方を見られて、
結構恥ずかしかった。

その同行の一人の女性に、「おめでとう。ようやく幸せを掴んだのね。」と、
すごく優しい言葉をかけてもらったのには、少し感激。

彼らは、最後に次回もまた仕事を頼みたいと私に言ってくれ、
Fモードで姿を見せたことが、決して不利になることはなかった。
私のプライベート以外での、初のカミングアウトは、何とか成功。

別れ際の挨拶も、これまでの握手から、頬にキスをしてくれ、
ちゃんと女性として扱ってくれたの。

そして、何よりも嬉しかったのは、昨年も一緒にお仕事をした人たちが、
私のことをマリーナと呼んでくれたこと。



11月13日     カウンターバーでのステキなひととき

取引先の人から、お仕事の後、一杯やりませんかと電話が。
えっ、今日は普通のOLモードなのに。
唯一お出かけモードになるのは、ハートのリングとパールが、
細長いチェーンでぶら下がったピアスをしていたくらい。
とは言え、普段はすごく忙しい人だから、喜んで伺いますとお返事。

その人には、半年前に、会社が私のことを隠そうとするのに反動を覚えて、
私が女性の道を歩むことを少し話しておいたの。

でもあの時はMモードだったから、ビックリするかなと思いつつ、
指定されたカウンターバーへ。
薄暗く洒落た感じのする大人の社交場といった感じの場所。

ところが、私が挨拶すると普通に会話が始まり、アフリカ情勢のお話が、
一段落しても、一切私の外見に触れる気配はなし。

こんなことは、これまで初めて。
あまりにも気味が悪いので、不快だったかなとも思い、ラム酒を少し呑み、
間を置いてから聞いてみると、こんな答えが返ってきたの。

「以前に聞いていたから、驚かなかっただけですよ。むしろ、驚いたのは、
あなたが、すごく色っぽくなっていたこと。」

「えー、まりな嬉しい!」と心の中で叫んでしまった。
こんなこと、日本人男性から言われるのが初めてで、大きな喜びを感じちゃった。
さすがは、世界を駆け巡りお仕事をしている人だけあって、表現がとてもスマート。
これまでは仕事上で尊敬していたけれど、男性としてもすごく格好よく見えた。

女性って、こんな風に男性にウソでも褒められることによって、
磨きがかかってくるような気がした。

私も早く彼氏が欲しいな。



11月15日     しあわせに思える時間

今朝は、車のフロントグラスが凍結していた代わりに、すごく良いお天気。
私がお昼ご飯の担当で、パートナーがポーチで日光浴してくるねと、
アルコール8.1%のビールを持って、キッチンから姿を消していた。
ヨーロッパの週末はお昼がメイン。

私がお料理していたのは、スコッチエッグとサラダ。
通常は油で揚げるものだけれど、カロリーが気になるから今日はオーブンで。

一段落した私も、エプロン姿のまま、ビールを持って彼女の居るポーチに。
二人で心地よい日光を浴びながら、何気ないお話。
しばらくすると、太陽光でよくお互いのお顔の無駄毛が、見えたこともあり、
毛抜き大会の始まり。なんか、お猿さんになったみたい。

太陽の恵み、青空、緑を感じ、鳥さんの歌声を耳にしながら、
久々に心からリラックスでした瞬間。何気ない時間だったけれど、
幸せを十分に感じることが出来たの。
これこそ至福の時間。



11月16日     啓示かも

ブラを常時着用し始めた頃は、極力胸の膨らみが分からないように
していたにも関わらず、最近はプッシュアップブラで、小さい胸を
精一杯強調してお仕事しているの。

なんか段々と、神経が図太くなって来ているみたい。
それでも、最近は満足出来なくなっている。

こちらの女性って、ブラから胸がこぼれている人が多く、私もそうなりたいな
なんて思いながら、ネットで豊胸手術について調べていたの。
本当の理由は、別のところにあるんだけれどね。

それにしても、色々な人工乳腺があるんだな。一体どれがいいんだろう。
見れば見るほど、良く分からなくなって来た。

そんな時に、ニュースで豊胸手術の失敗例といった特集が始まったの。
グロテスクで見るに耐えれなかった。ちょっと、タイミングが良過ぎかも。

これは私に焦らず、もう少し今のサイズで我慢しなさいといったメッセージ
だったんだろうな。



11月17日     名刺交換

日本から上司を訪ねて来客が。
私とは直接関係ないけれど、紹介され、相手が名刺を差し出そうとし、
私のを取り出した時にふと気付いた。

ちょっと待ってよ。さっき、パープルのグロスを塗り直したところなのに…
胸も結構膨らんでいるし。そして、名刺は過去の名前のままなのに。

何気ない顔して名刺交換。
救いは相手が男性で、デキる営業マンタイプであったこと。
特に表情を変えることもなかったし。

それでも後で、私のことをおかまさんだと思っているだろうな。

これまで、そんなに意識することなく渡していた名刺だけれど、
今日ほど書かれた名前が嫌に思えたことがなかった。
いえ、具体的には、生理的に受け付けなくなっていた。

一日も早く昔の名前と決別したい。
そんな想いが日増しに強くなってきている。
それが、今の私にとっての、一番の女性化だと思えるから。



11月20日     望まない体質変化

太陽が姿を現していたとは言え、冬のシベリア鉄道の途中の駅にて、
Tシャツ一枚で、線路に横たわり記念撮影をし、その私の姿を見た
同じコンパートメントのロシア人が、気が狂ったのかと飛んできた程。

冷え切ったシベリアの街、イルクツークでしっかり防寒対策をしていなく、
地元の人たちにも注意されていた私。

それほど、寒さに強かった私の体質が、ここ最近変わって来ているの。
確かに私の居る場所は、入り口に一番近いけれど、他の同僚達に寒さを感じない
日でも、私は非常に感じていしまうことが多い。特に下半身が。

先日も上司に扉から隙間風が入らないように、玄関マットを設置してもらった。
それでも変化がなく、今度は私の後ろの窓から冷たい風が少しずつ入ってきて、
寒いと主張すると、植木を置いてもらいこれで良くなっただろうと言われたけれど、
まだ寒い。

さすがにこれ以上、要求ばかりも出来ないので、それ以降は黙っているけれど、
完全に冷え性になってしまっているの。おクスリの副作用だと思うものの、
私の体が弱くなったことは、プライドもあり言いたくない。

これだけは、昔の私を返して!と、大声で叫びたい気持ちなの。



11月23日      外国人風の女の子

Webマガジンにこんな特集があったの。
「ハーフになりたい願望解決」

一瞬、私たちのようなハーフかなと期待したけれど、
ファッションコーディネート、メークなどによって、外人とのハーフに、
いかに近づくかといった特集記事。
なんか笑えちゃった。

純粋な日本女性だって、すごく綺麗だと思うけれど。

私が気になったのは、「今すぐ外国人風の女の子に変身」とあったところ。
なぜ、すぐに基準を西洋人に置くのかしら?

お顔は、全体的に大雑把なつくり。
皺は割と目立つし、皮膚は、キメ細かさに欠け人が多い。
スタイルやセンスの悪い人は、どの国でも同様に見かけるわけだし。

彼女らがセクシー?それは当たり前。
日本人て、ちょっと恥ずかしいとか、単に私はもう何歳だから、
こんな格好なんて出来ないって、他人の目を気にするあまり、抑制している
人が多いからじゃないの?

ファッションだって、パーティとかでは、おめかしして、すごく映えて見えるけれど、
これは日本女性も同じ。
普段はラフとか、平凡で、お洒落じゃなかったりする人も目立つ。
何よりもファッションやメークなんて、何人だからではなく、個人のセンスの問題。

それに対して、私が夏に日本の街を歩いた印象は、ヘアスタイルが多様でお洒落。
アクセサリは日本の方が、種類も多くステキ。
お肌のキメの細やかさは、とても感心しちゃう。

なぜ日本の女性は、持ち前の美を生かさず、彼女達の真似をしようとするのかと、
こちらの知り合いに聞かれたこともあるくらい。

そろそろ、西洋コンプレックスから脱却し、もっと自信を持って、日本の美を、
世界にアピール出来ないものかな。



11月24日      アイシャドー5色使い

外出時のFモードで外出を始めた頃の「私は女性なの」といった感動が、
最近では、セピア色に薄らいでいるみたい。
すれ違う人を観察していると、私が群集の中の一つの点に感じてしまう。
それに、冬の寒さが、服装を地味にしている為かな。

しばらく鏡を見つめていると、眉毛しか描いていない目に華が欲しいなと、
ついに日本から持ってきた、5色のゴールドブラウン・アイカラーの登場。
アイシャドーをつけるって、何ヶ月ぶりだろう。何だかワクワクしちゃった。
眉毛の下から順に塗ってゆくと、パッケージには書いてあるけれど、
最高でも2色使いしかしたことのない私には、要領を得れない。

今度は逆に下側から塗ってみたりと、試行錯誤をしたものの、
二重の部分の上に塗る、ハイライトでない2色のグラデの付け方が、
はっきりと分からないの。

うーん、いきなり5色使いはちょっと難しかったかな。
でも、パール入りでキラキラ光るのが可愛いし、久々に病院へ行く
予定もあるし、実験も兼ねて、塗って行くことにしよう。
未だ着ていない、ラメ入りのゴールドのセーターにもちょうど良いかも。

たまには平日でも、お洒落もしないとね。
どこに私の将来の彼氏が、待っているか分からないし。



11月26日      わたしのホンネ

玄関を入ったところにある、クリスマスの装飾を横目に奥へと進んだ。
初めて訪れてから、もう1年少々が経つ巨大病院。地上12階、地下3階建で、
4つのブロックに分かれているから、移動をする度に迷っちゃう。

まずは、いつもの地下1階に向かうと、4ヶ月ぶりの身体検査が。
えっ、ヒップが4センチも大きくなっているの?
次に体重測定。過去4回は50kg前半だったから、そんなものかなと、
恐れることもなく体重計に乗ると、これまで、2kgを前後していた体重が、
50台後半に。4ヶ月で6kgも増加。
ショック!信じられない。
体脂肪に関しては、完全に欧米人じゃない。もう何とかしないと!

次に向かったところで、来月の血液検査のための書類をもらっている時に、
私が太ったことを話すと、おクスリが効いているのよだって。
結構気楽だな。私は焦っているのに。

でも、よく考えてみると、まりなとしての社会生活が、落ち着いて来たのが9月。
ストレスも大きく減少し、おクスリが効き始めた頃かもしれない。
私が女性かなって、感じるようになったのもこの頃だし。
40kg台も夢でなかった7月は、複数の精神障害に悩まされていて、
一歩間違っていたら、自らを抹消してしまっていた時期。

そんなことを考えながら、その人の話を聞いていると、心理カウンセリングでも
受けてみないと提案された。2月以降ずっと中断されていたのが、
ようやく再開されたみたい。

必要としている時に、私を高く評価してくれていたカウンセラー達から引き離し、
今度は病院の都合で、一年以上も中断されて、今更何を話すことがあるのよ。
そうは思ったものの、考えもあって、久々に受けてみることに。
カウンセラーを呼び、来年1月の予約を入れた後に、私の事を紹介してくれた。

「彼女はマリーナ。この1年に目覚しい変化を遂げたのよ。」
こんな感じで何度も、私のことを褒めて話す。

ところが私の内心は、喜びを一切感じず、至って淡々としていたの。
«何が目覚しい変化よ。それは一年前のMモードの私のお顔が、酷すぎたから。
今、ようやくスタートラインに立てただけ。私が目立った成功例なんて大笑い。
なんてレベルの低い国なの。日本だったら、私は大した事ないよ。»

私にとって、この国で褒められたり、パスすることなんか、大した意味を持たない。
目指しているのは、外見、内面ともに輝き、世界の舞台で立派に通用するMARINA。
ただそれだけ。



11月29日      じゃがいもオムレツ

簡単でパーティー料理の立派な一品にもなるオムレツの作り方。

(材料)
ジャガイモ1kg
ピーマン大2個
(今日は色付けに入れたけれど、好きじゃなければ省略可)
卵4個
塩少々

@ジャガイモの皮を剥き、3-4ミリ程度にスライスする。
(あまり分厚いと火が通るのに時間がかかるので。)

Aスライスしたジャガイモ、ピーマンを大きめのフライパンを使って
ジャガイモが被る程度の、ひたひたの油で火が通るまで揚げる。
少しお塩も加える。



(1kg程度のジャガイモであれば、通常二度以上に分けて揚げることに。)

B火が通ったら余計な油を切って、ザルにあける。
ヘナっとしているけれど、カリカリになる必要はないので大丈夫。
フライドポテトとしても食べれるように、お塩で味を調整。
(私はこの段階で結構つまんじゃうことも)

Cボールに溶き卵を作り、Bと混ぜる。



D小さめのフライパン(下の写真は上部の縁が直径18cmのもの)
にCをあけ、最初は中火(IHヒータの1-9までの5)で、
すぐに(1分)弱火(3.5)にして、フライパンにくっつかなくなれば、裏返す。

下の写真は、オムレツはまだ半熟だけれど、縁が固まっている状態。
(一度盛り付け用のお皿に一度空けて、ひっくり返すと楽)

裏返したときに、出来上がりの写真の様に少し焼き目が付いていればOK。



E裏返してから火を止め余熱で5分程度焼く。(IHヒーターの場合)
ガスだったら余熱が残らないので2-3分は弱火で焼いた方が良いかも。

周囲をフライ返しで外し、フライパンを軽く振って動くなら出来上がり。
(串を刺してみて卵がべったりしていたら、余熱でもう少し)

中身に少しトロっとした感じが残るような状態が、一番美味しいの。
卵が固まるとパサパサしてまずくなるから、迷ったらまずは火から離して
状態を確認するのがベスト。

最初は火加減が難しいかもしれないけれど、コンロの特徴を掴めば
結構簡単。

Fお皿に盛って出来上がり。



おかずとして食べるときはケーキのように切り分け、パーティーの時は、
一口サイズのサイコロ状に切り分け、爪楊枝でつまむのが、こちら流。

お好みで、ケチャップ、バーベキューソース、マヨネーズ、ガーリックマヨネーズ
などを添えてどうぞ。

冷めても結構美味しいので、余ったら翌日のお弁当用のバゲットを使った、
サンドイッチの具にも変身。ロックフォールソースや炒めたピーマンを添えた
ものが私は結構好き。

このオムレツはあくまでも一例。みじん切りにした玉ねぎやほうれん草を
加えたりしたものも見かけれるけれど、後は個人のアレンジ次第。
日本だと色々とバリエーションが増やせそう。
それでも、私が一番好きなのは、ジャガイモと卵だけのシンプルなもの。



11月30日      しもぶくれまりな

そろそろパスポートの写真を変えるために、写真を撮ってみたらびっくり!
見事な下膨れ顔で、逞しい女性。

鏡で見る限りでは、ふっくらして以前より女性らしいかななんて思っていたら、
大間違い。6kgの体重増加は、こんなところにも大きな影響が。

ホルモンの関係で太りやすくなるとは聞いていたものの、今までは大丈夫
だったからなんて油断しちゃった。

大好きなバタークッキー、チョコをたっぷりとコーティングしたクッキーも
控えているのに。スコットランド、Walkers社のショートブレッドは、
バターがよく馴染んでいてとても美味しいの。

今くらいに太った、おクスリを始める前には、偶然にも体調を崩して、
一気に痩せた事が何度かあったことを思い出したの。
半ばヤケになって、強めのビールを二本続けて飲み、
お昼にはお肉が180g程度の、ハンバーグを焼き、具を沢山挟んだ
ハンバーガーを作り、これで体調を悪くして痩せようなんて、バカな試みを。

結果は、この一週間ビールを控えていたこともあり、食後すぐに眠くなり、
3時間もお昼寝をしちゃったから、かえって太ったみたい。

おまけにヒステリックになって、デジカメを床に投げつけ、壊れてしまうし。
もう、最低!



12月2日      私がラジオに出演?

朝、会社にこんな内容のメールが。
『日本のラジオ局です。海外在住の人の、お仕事内容、普段の生活、
おすすめのスポットなどの話を、電話を通して、ラジオに出演してほしい。』

まりな世界展開の良い機会、とは思ったけれど、冷静に考えると、Fモードで
日本語を使った経験が乏しい。「こんにちは、まりなです。」と発した瞬間に
このおかま、黙れ!って、苦情が入るんじゃないかと段々消極的になって
しまった。ボイストレーニングさえしたこともないし。
思わず好きそうな上司に振ろうとしたら忙しく、あっさり、断っての一言。

ちょっぴり残念な気もしたけれど、自信のなさに負けちゃったのが、悔しい。
いつかはリベンジしないとね。

この2月に一度、声帯手術に関するカウンセリングを受けているの。
その時先生が、私の喉仏のなさに、無理に手術する必要はない。
声も特に問題はない。ただ、どうしても希望するのであれば、一年後に
再度診察を受けるようにと、言われたことを思い出した。

どうしよう。手術を受けてより変な声になりたくないし。
でも、女性の声が欲しい。
そして、何よりも傷が残るのが、すごく不安。
悩んじゃう。



12月4日       可愛くなりたい

ついにパスポートの写真を変えるために、会社を抜け出し大使館へ。

6kg太ったことにより、9月末の日記の定期券の写真を差し出したの。
華奢で優しそうな顔だったから。

ところが、自宅のプリンタ使用で、ドットが荒いからと却下。
大使館から歩いて15分くらいのところに、写真屋さんがあるから、
撮ってきてくださいと。

この時点で、内心はキレていたけれど、普段便宜を図ってらっているから、
そこは我慢して、風が強く、今にも雪か雨が降りそうな中を、写真屋さんに
向かった。まさか今日写真なんか撮るとは思っていなかったから、眉を描くのが
ちょっと失敗したけれど、まあいいかで出社。そして、今週はアイシャドーの
テスト中で、適当にパープルのラインを塗っていたと恐ろしい状態。

すっかり体が冷え切り、お顔が硬直した状態で、たどり着いた写真屋さん。
風で髪がすっかり乱れていて、目が隠れないように上げていざ写真を撮ると、
予想はしていたものの、やはりビックリ。逞しく、きつい顔。
そして、髪はおコンブ。



男性の時は童顔で、可愛く見られ、すごいコンプレックスだった。
だから、女性化したら逆にそれが長所として生かせると期待していたら
大間違い。全く可愛くない。お仕事だって、日本と違って、のんびりと
行っているにも関わらず、きついお顔。正直、こんなお顔はお断り。
早く修正しないとまたパニック障害に祟られそう。

帰路、大使館に戻るか、去年作ったMモードのパスポートで通すか
色々考えた。写真を後日取り直してもそれほど変わりそうもなかったし。

年末の旅行はパートナーと一緒。
またパスポートコントロールで揉めるのが目に見えている。
やはり彼女には、迷惑を掛けれない。彼女も変えろってうるさいし。
分岐点で立ち止まって、しばらく考えていたけれど、そんな理由から
大使館に戻ったの。

それよりもまずは痩せないとね。



12月6日       寂しいイルミネーション

昨夜はお友達夫婦と4人で一足早い忘年会。
久々のタイ料理。実はタイカレーは私の大好物。

ずっと昔、出張先のタイで食べてすごく気に入り、カレーペーストを大量に
買って来たほどだけれど、ここ何年かはすっかり食べる機会がなかったの。

タイカレーの特徴は、使用する唐辛子により緑、黄、赤と色が鮮やか。
ココナツミルクの効いたカレーがあり、辛いけれどマイルドで、いくらでも食べれちゃう。

私が選んだのは、お野菜のレッドカレー。
辛いのが苦手な、欧米人の味覚に合わせているのか、全体に緩めで、
おクスリを始めてから、辛いものがダメになった私にはちょうど良かった。

市販のペーストを使えば簡単だし、クリスマスディナーの一品に加えようかな。

食後はクリスマスのイルミネーションを見に、街の目抜き通りに出たものの、
まだ22時を回ったところなのに、もう消えていた。
レストランに向かう途中のイルミネーションもショボかったし。
バブルが崩壊したヨーロッパ。不景気の波はこんなところにまで来ていた。





12月7日       BEAUJOLAIS NOUVEAU (新ボジョレー)

ボジョレーの近くに住んだことがありながら、一度も飲んだことのない
ボジョレー・ヌーボー。このワインを初めて買っちゃた。

ちなみに解禁日は11月第三木曜日(今年は11月20日)。

お味はアルコールの入ったグレープジュースといった感じ。
軽くどんどん入っちゃい、すぐに一本を空けてしまったけれど、アルコール
度数が12度ということを発見したら、一気に酔いが回っちゃった。

酔っぱらいながら気になったことが一つ。

赤は黒ぶどうを使いぶどうの皮、種ごと発酵させたもの。
白は緑色のぶどうを使い皮や種を取り除き、果汁だけを発酵させたもの。

ところで、アジア料理に合う、ロゼワインはどうやってつくるんだろう。

調べてみると、赤のように発酵させ、少し色が付いた段階で、
白ワインのように果汁だけを絞り、発酵させるらしいの。

それよりも飲む量を減らさないと、ただでさえおクスリで肝臓に負担が、
かかっているし、将来の彼にも呆れられちゃうかな。



12月10日       新しいパスポート

ついにパスポートの写真が、Fモードのものに変わった。
以前のは、わずか1年半でさようなら。

当時はシャープな逆三角形の顎をしていたなんて、すっかり記憶から
なくなっていた。よくここまで丸くなるものだと、結構な驚き。
それだけ太ったことだね。

写真を変えるだけじゃ、つまらないから、サインもまりなにしちゃった。
でも、性別欄の”M”の一文字が、名前と共に喉に骨が痞えている感じ。

パートナーにパスポートを見せたら、ジャーナリストみたいと一言。
以前にも知り合いに、ある女性に感じが似ていると言われ、ネットで
調べてみると、元ニュースキャスターでジャーナリスト。
なぜと、ショックだった。

どうも男になんか負けるかといった表情。
母に性格がきついと言われていたのが、お顔に出たのかな。
訪れた国々で、いろんな人を質問攻めにしたためだといいけれど。
もっと家庭的な感じで、可愛さを備え、色気も感じる女性が私の理想。

いっそのこと、夜のお仕事で接客に励めば、もう少し表情が柔らかく、
より女性らしくなるかな。
この街にはおかまさんの界隈もあるしね。



12月11日       駐車場にて

今日はおクスリの処方箋をもらいに診療所に。

こちらの社会保険での医療システムは、原則、居住地区の指定された
診療所に行くことになっているの。もちろんジェンクリとかじゃないところ。

自宅からも歩いて行けなく、結構面倒だけれど、アンドロキュアは処方箋が
あると、超安く買えるから仕方がないの。

今日は知らない男性の先生だったから、プレマリンの処方箋14枚とか頼むと、
なぜそんなに必要なのかと、びっくりされちゃった。
とはいえ、一箱で4.6日しかもたないのね。

ちなみにおクスリは病院や診療所では処方してくれなく、全て薬局で
購入するシステム。

そして、診療所の帰りに、車を停めた駐車場から出ようとしたときの事。
出口に向かって曲がってすぐのところが、チケットを入れる場所で、いつも上手く
止めれなく体を思いっきり乗り出したり、一度降りてチケットを入れないといけないの。
ところが、チケット挿入口に向かっているところで、何とお兄さんが窓口から
出てきて、私のチケットを受け取り、わざわざ機械に入れてくれるサービス。

こんなことは一度も無かったのに。
今日は少し可愛く見えたのかな。赤いコートも着てたし。

もちろん、私も精一杯の笑顔で、ありがとうと返した。
女性に生まれ変わってよかったと思えた瞬間。

(これだけでたった2ヶ月分)



12月13日       間違え?

ファンデが残り少なくなり、デパートへ新しいのを買いに行ったの。
最近はリキッドタイプを使うと厚塗りに見えるので、パウダータイプの
物だけ。私のお肌にはM.A.C.のものがよく伸び、合っているみたい。

お買い物の後、考え事をしながらおトイレに入ろうとすると、そこは男性用で、
ちょうど出てくるおじさんに、変な顔で見られ、思わずごめんなさい、
間違っちゃったと反射的に言葉を発してしまったわたし。

冷静に考えたら、間違っていないのよね。
夏に男子トイレに入ることを止めてしまい、気が付けば、遠い世界と
なっていたみたい。

以前は列を作ることはまれで、ファスナーを下ろすだけで簡単に用が足せたし、
清掃前の汚い状態といっても、使用済みの生理用品がゴミ箱から、
あふれているグロテスクな光景を見ることもなかった。

私は、別に女性用じゃなきゃ、気分が落ち着かないなんてこともないし。
今となっては、男性用の方が良かったかなと思うことも。

なんかノスタルジーを感じちゃった。



12月14日       クリスマスでカルチャーショック

クリスマスツリーにサンタクロース。
日本で一般に描かれているクリスマス像。

ところがそれらが、脇役に置かれている国々がヨーロッパに存在するの。
イタリアとスペイン。

私がクリスマスに、スペインに住む友人宅を訪れた時。
お友達が、クリスマスの飾りが、すごくきれいなところに連れて行ってくれるという。
大きな電飾が眩しいクリスマスツリーかなと思い、一緒に訪れると、
そこにはクリスマスツリーがなく、キリスト生誕の地ベツレヘムの
生まれた馬小屋と、その近辺のジオラマみたいな模型が飾られてあった。
細部の様子まで再現キリスト誕生の場面を再現したその模型には感動しちゃった。
スペインでは「ベレン」、イタリアでは「プレセピオ」と呼ばれるもの。

実際お家の中にもしっかりと飾られていた。
別のお友達の家を訪れても同様にといった具合。

赤子キリストの周りには、誕生場面で聖書に出てくる人が総出で、
まるで見る聖書の世界。
13世紀にイタリアで聖フランシスコが、キリスト誕生を祝うために模型を作ったのが、
起源と言われているの。また、中世では文字を理解できない人が多かったために、
聖書を視角で理解してもらおうといった目的もあったみたい。

更に凝っているのは、24日夜までは主人公であるキリストは、
まだ誕生していないから、藁のベッドに置かないこと。

カトリックの国のこんなクリスマスもあるんだと、カルチャーショックを受けてしまったの。
ちょっと違ったクリスマスを体験するなら、それらの国を訪れることがおすすめ。



12月17日       挨拶まわり

こちらでは年末の挨拶として、クリスマスまでに、取引先などを訪れるのが慣わし。
チョコレート、ワインなどを通常手土産に持っていくことが多いけれど、
一度、ウオッカを紙コップ持参で持ってきた人がいて、午前中から、
一杯飲んじゃったことも。

例年だったら上司と二人で出かけていたもの。今年は、私の事をどう顧客に
説明するかなど、私とお出かけしたくなさそうだったので、一人で訪れて来たの。
堂々と振舞えば良いだけなのにね。
以前は行かない方が良いと言われたら、あきらめていたけれど、
最近は私も神経が図太くなってきたみたい。

途中で手土産を買って、プレゼントですかと聞かれ、はいと答えたら、
不器用そうなお兄さんが、きれいに包んでくれたこともあり、気分が良かった。
去年はそんなことがなかったし、そんな感じのお店でもなかったのに。
実は日本では当たり前のことでも、サービス精神が考えられないほどない
ヨーロッパでは、これって驚くべきこと。

そして、まりなとして初めての日系企業に到着。
もちろん、そこの人たちは、私のスーツ姿しか知らないから、すごくびっくり
していたけれど、私が状況を説明する前に、出迎えてくれたある日本人女性に、
普通の女性以上に綺麗と言われちゃった。
最近は今回のようなお世辞でも、病院以外で褒められると、
ウソと分かっていても嬉しくなったりするの。

これも脳の女性化なのかな。

ある話から、事務所の責任者の女性が年齢を教えてくれて、実年齢よりも10歳は
若く見えてびっくり。そこから、私はお仕事もすっかり忘れて、どうすればそんなに
瑞々しいお肌を維持できるのかと、美容のお話で盛り上がっちゃた。

ちなみにその女性は、朝晩の洗顔は普通の石鹸のみ。

女性として、営業が出来て、今日は楽しい一日。



12月20日       アイシャドーの落とし穴

18日は血液検査のために病院へ。
検査が今年最後の週ということもあり、結構混んでいて、ソファーに座って
順番を待っていたの。

いよいよ私の番かなと思われたとき、呼びに来た検査官の人が、私の隣に
座っている二人とご一緒ですかと、質問でなく、確認するように聞かれた。
それも、若い人たちに使う話し方でなく、きちんとした言葉で。

その二人は、目に入ったカルテによると、15歳の女の子とその彼氏みたい。
もしかして、私が彼らの保護者か引率者と思われたの?
ちょっと待ってよ。私がそんなに老けて見えるわけ?
それに、人種も違うんだよ。

必要以上に、「違う」を強調してしまったわたし。

18本のサンプルを採血されている間に、なぜと考えると、原因はどうやら
アイシャドーにありそう。おとなしく、ゴールドブラウン系を塗ったものの、
シャドーを付けたお顔は何もしない時よりも、齢が上に見えてしまうみたい。
先月から時々塗っていたけれど、何か違和感を感じると思っていたら、
やはりそういうことだったのね。

結構ショック。アイシャドーって私にとっては、お化粧品の中でも一番女性を
感じるアイテムで、会社にを塗って行くのも一番抵抗があったのに。
パートナーにもそれなしの方が可愛いく見えると言われるし。
もう少し明るい色を試してみたらどうなんだろう。

こんなところに落とし穴があるなんて、考えもしなかった。



12月23日      一年を振り返って 前編

初めて女性ホルモンを服用してから、29日にようやく一年が過ぎようとしている。
私の新しいお誕生日。それとは別に、あることから、10代の頃よりずっと、
本当に私の生まれた日と思っている。

一年前。
GIDと判断されただけで、気持ちだけがすごく焦り、現状も踏まえず、
上司にカミングアウトをしてしまったバカなわたし。

重く、気まずい沈黙が流れた後に、発せられた言葉。
「あなたがプライベートで化粧をしたり、女性の格好をすることは、
個人の自由だから何も言わない。まさか、会社にそんな変な格好で将来的に
来ることはないだろうね。私も責任者として、他の社員や顧客の手前上、
黙っているわけにはいかないし、解雇も含めて考えないといけない。」

そして、この日以降、上司に食事やお茶に誘われることは一切なくなった。

まだ100%外見が男性だった私は、お化粧して会社に行くことなんて想像も
つかなかったし、恥ずかしさも伴って、そんなキモイ事をすることはないと
思うと、弱々しい返事しか出来なかった。

それでもしばらくすると、自然と眉を描いたり、ワンポイントでも女性の物を
身につけるようになった。

3月に入ると、私の話について一切触れることのなかった上司から、
私が女性物のエナメルのベルトを着けていたのを、見た社員がいると、
非常に困惑した不快な表情をして言われた。

他の社員が不快感を示しているから、やめるようにと言われるのが時間の問題
だったこともあり、先手を取って、業務上以外は、一切無視し続けていた
同僚達にも仕方なく話してしまうことに。

病気だったら仕方ないねと、言ってくれるものの、反応は非常に冷たいもの。
日本と違ってGIDという言葉も浸透していない国だし。
そんな不支持率90%ぐらいで始めた女性化。

良かったことといえば、私がゲイである疑惑が晴れたことくらい。

女性化に関しては、最初は現状を踏まえ、会社では中性的に、
そして、徐々に、控えめに行う予定だったの。

ところが、ある事が生じ、計画が大幅に狂うことに。



12月24日      クリスマスイブ

街中の「喧噪」と「静寂」の一日の変化が、一年で最も大きく感じられる日。
今日は会社が休みか、半日のところが大半。

午前中。クリスマスディナーの食材の買出しで、スーパーは人であふれ返っている。
私のところは、早い時間単に買い物を終え、お昼は夜に備えて軽く済ます。
そして、私のようにお昼寝をして夜に備える人も。

ショッピングセンターは、クリスマスプレゼントを探す人で賑わっている。

そんな人で賑わっている街やショッピングセンターも夜になるとひっそりとして来る。
それもそのはず。地下鉄やバスの運行が、この日は、20時-21時が最終になるから。

終電が近づくとケーキ、ワインなど持って、移動する人たちの姿がチラホラ。
この人たちは、これから楽しいイブの夜が待っているなんて、想像がつく。
私も一人のときは、よくそれらの手土産を持って、お友達のお家に
泊りがけで向かっていた。

この夜ばかりは、一人で過ごすことに、すごく寂しさを感じたもの。
全てと言っていいほどに、お店や飲み屋さんが閉まり、街は完全にゴーストタウン化。

普段は別々に暮らしている家族や親戚が、一同に集まって盛大にディナーを楽しむの。
独身で彼女のいる男性でも、日本のようにカップルで過ごすのではなく、その女性は、
自らの家族と一緒に過ごすのが普通。もし、その彼が彼女の家族と共に夕食に
招待されたとしたら、それは名誉なこと。

また会えない場合は、家族同士電話を掛けるから、この夜の電話回線はすごい混雑。

特別な夕食の準備が出来たら、シャワーを浴び、服を着替えて、お洒落を楽しむ
のが普通。一年で最も大切な夕食だから。
私も今夜はしっかりお化粧して、すごく長いパーティー用のピアスを付けて
テーブルに着くつもり。
つまりある意味、日本の新年の朝に相当するかも。

ちなみに私の家の今夜のメニューはこんな感じ。

-オードブル盛り合わせ
-サーモンのケーキ
-ローストビーフ
-ケーキ

今年は週末から二人で日本に帰省するから、二人で簡単に済ませるけれど、
去年はお友達を招待し、お料理の内容も多く、日付が変わっても飲み食いしていたほど。

食事場所にしても、どこの家も普段は来客用に使用するテーブルに着いて、お洒落な
テーブルクロスを掛けて食事をするから、お家がちょっとしたレストランに変身。

クリスマスツリーの前には、プレゼントを置き、25日の朝に開けるのが習慣。
明日が楽しみ。
日本と違って大人もプレゼントをそれぞれ受け取るから、出費も相当なもの。

時計を見るともう19時を過ぎている。
さて、私もそろそろパートナーとクリスマスディナーの準備を行わないと。



12月26日      眠れない

最近はまた睡眠障害に見舞われている。
原因は、年末の挨拶で会った人たちに、なんてキモイおかまなのと
思われているんじゃないかということ。

昨日も取引先から電話があって、
「あなたがすごく綺麗になったと、関連会社の人が言っていましたよ。」
それを聞いた瞬間、背筋に寒気が走った。
年始にその挨拶に行っていないところを訪れるのが、恐ろしい。

夜、ベッドに入ると人々の笑い声が聞こえてくる。
そんなわけで、日記を書くのが嫌になる前に、私の今の精神状態
とはかけ離れているけれど、勢いで「一年を振り返って」の続きを
書くことにします。



12月27日       一年を振り返って 後編


ゆっくりと女性化(中性化)を行っていた私に、異変をもたらした出来事。
それは6月に起こったオフィスの引越し。

入り口に小さなスペースがあり、メインのオフィスは別のフロア。
当初は全員をメインフロアの予定だったのが、一人を入り口の
ところに配置することに。

上司や皆と机を並べることが嫌だった私は、率先してその場所を希望。
だれも一人ぼっちになりたくなかったみたいで、私の配置があっさり決まった。

ところがその場所って、受付も兼ねているところ。
既に会社からは睨まれながらも、アイラインやマスカラを入れていたものの、
服装を含めて外見は、遠めには女性に見えると言われる悲惨な状態。

これまでの少しずつパスしていけば良かった状況から、来客を最初に
迎える立場により、男性に見えるなんてもってのほか。
パスは必要最低条件となってしまった。
つまりパスしなければ、会社を辞めろと云わんばかりの状態。

少しでもお化粧している私の姿をよく見かける、ビルの管理人のおじさん、
郵便配達人、メッセンジャーなどもいた関係上、もうお化粧を止めてMモードに
戻るわけにもいかない。
とにかく、前進あるのみ。

来客がある度に心臓がドキドキ。
自ら選んだ場所にせよ、毎日が本当に苦痛だった。
一人であるのを良いことに、涙を流すこともしばしば。
どうしたら女性らしくなれるか、ひたすら焦り、より私を苦しめた。
気が付けば改善方法を考えるよりも、どうすれば人生を終われるなんて
否定的になっていた。

私が夏ごろにお顔のことを非常に気にしていたいたのが、ここにあるわけ。

でも、私の女性化の失敗を望んでいる人達もいるから、負けたくなかった。
何よりも、自らを犠牲にしてここまで支えてくれたパートナーのためにも。
そして、生まれたばかりのまりなのために。

色々あって、9月になってようやくある程度の自信を持てるようになり、
女性化のペースも比例して、スピードアップしていった。
ただし、この国でのレベル。

それにしてもオカマさんに受付をさせる会社も理解できない。

今では普通に受付嬢(?)も兼ねてお仕事をしているけれど、
正直、こんな短期間に、ここまで到達出来るとは夢にも思わなかった。
もちろん今でも突如、不安と恐怖に襲われることはあるけれど。

そして、何よりも、忘れてならないのは、
私を支えてくれた人たちのおかげでもあること。

これから日本までの10時間以上に渡るフライトでは、おそらく色々なことを
振り返っていると思うの。


       I wish you a Happy New Year.

I hope next year will be an even better year for you.

               Marina




12月29日       隠せないショック

今日は初めてネットで知り合ったお友達と会う日。
HP上でよく写真を掲載されていて、綺麗な方とは想像はしていたものの、
実物は思わず声を上げそうになるくらいに、細くモデルさんみたいな体型の人。

すごく感じの良い女性で、あっという間に時間が過ぎてしまったほど。
苺のケーキも美味しかった。

本当はもっとゆっくりとお話をしたかったけれど、同じ日にいとこと会う約束があったため、
次の目的地に移動。
今度はゆっくりと観光もしてみたいね。

待ち合わせ場所に現れたいとこ。
彼には私のことは一切話していなく、変わり果てた私の姿を見て、さすがにショックは
隠せなかったみたい。

それが明らかになったのは、3軒目の串カツ屋さんに連れて行ってもらった時。
ロの字型のカウンターの中にいた店員さんは、私のことをヨーロッパの人間と思っていた
みたいで、私の国籍をいとこに確認すると、彼は、海外在住の日本人と答えるだけでなく、
「ニューハーフになって帰ってきやがった。」
と悔しさも込めて、私の正体まで暴露してしまったの。

相当ショックだったんだろうな。
私を子供の時から弟のように可愛がってくれたのに。
その時私は、心の中でただごめんなさいと言うしかなかった。

私の女性化は、思っている以上に他人も苦しめているのかもしれない。




    ..........      


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