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(2009.01.01-2009.02.28)

1月2日       初夢

あけましておめでとうございます。

今年の初夢は衝撃的な内容だった。
日記にも書けないほど、女性として、淫らな行為を行っている私がいた。
あれから10日以上経った今でも、はっきりと覚えている。
一体何を意味するのだろう。

おクスリを始めてから、すっかり性欲が消えていたと思っていたら、
深層意識下では、かなりの欲求不満だったみたい。


さて、今日はもう一人のネットで知り合ったお友達と奈良で会い初詣に行って来たの。
午前中はパートナーと観光をして、午後のその間は別行動だったけれど、
しっかり私たちの姿を目撃されたみたい。

今日の方も綺麗で感じの良い女性。
アクセもお洒落だったし。

特に、聞き上手というか、人の話を展開し、盛り上げるのがすごく上手で、
時の流れをすっかり忘れてしまったほど。

そんなことからすごく楽しい一日だった。
今年一年も時々いいからこんな日々が訪れて欲しいな。

グルメな女性であることをすっかり忘れて、私の大好きなハンバーグステーキを
食べに付きあわせてごめんなさい。今度はフレンチにでも行こうね。



1月4日       完パス?

今回はJapan Rail PassというJR全線、新幹線(のぞみを除く)にも乗車できる
スグレモノのパスを買ってきたの。

東京、京都、奈良、広島、宮島とすっかり外人さんみたいな観光地を周っちゃった。

京都では、お友達が舞妓さんに変身したいという事で、私もお付き合い。
当初は待合室で待っている予定が、言葉の問題があり、私が通訳として
付き添うことに。

ところがメーク室は既に女性が3人、メーク中でしかも、下着の上から薄い長襦袢を
羽織っただけで、ブラのバックベルトが完全に露出した状態の光景が展開されたいたの。

もちろん、私は同性のそのような姿を見ても、何一つ感じないけれど、
うぁ、何これ。これってまずいんじゃないの。
いくら私がMtoFとはいえ、世間はそれほど甘いとは思わないし。
何よりも、こんなところで指摘され、つまみ出されたら、一生立ち直れない。

でも、お店の人が私の顔を見て、ここに入れって言ったのだから、私は知らないよなどと
自分に言い聞かせながら、イージーリスニングが静かに流れる静寂な空間に、
私のオカマ声が、絶え間なく部屋中に響き渡った。

私のパス度を公共の場で試されるのって、はっきり言って拷問ね。
その時私は女優になりきるしかなかった。

結果は、疑惑の目で見られることもなく、何とかお友達を無事に変身させることが出来、一安心。





1月5日       私がパスした理由

広島の夜、空腹で目が覚めた。
美味しかった、夕食に食べたグレイビーソースのかかったハンバーガー、
昼食の牡蠣フライ丼が脳裏を横切った。

次に私が牡蠣フライ丼を頼んだ経緯の記憶が蘇った。
これがそもそもの元凶。

昼間、レストランで、メニューを眺めていたら、お店のおばさんが突然、
日本語交じりの英語で、牡蠣フライ丼と牡蠣丼がお勧めだと説明してくれた。
そして、一生懸命さに悪く思い、私も英語で注文していた。

日本人離れした、台形の鼻を持つパートナーなら、英語でも分かるけれど、
なぜ私が外人に間違われるのか。実際には、この滞在中、
初めてではなかったものの、この時ばかりは少し不思議に思えた。

それが昨日の京都での事と結びつき、私がパスしたのは、日本人らしく
なかったから、柔らかさにかけた大粒な顔でも、女性に見えたに違いない。
純粋な日本女性に見えていれば、まずパスすることはなかったはずだと、
かなり悲観的になってしまったの。

そして、突如、12階のホテルの窓から飛び降りたらどうなるだろうと、
衝撃に駆られ、恐る恐る窓を開けようとすると、換気用に少し開く程度。
いくら本気で自殺をする気が無かったとはいえ、一歩間違えればと考えると
恐ろしかった。

しばらく窓の外を眺めた後、ソファに座ってビールを一本飲み干した。
その間、涙がボロボロと零れて来て、味もほとんど分からなかったほど。
それでも、少しはリラックス出来たのか、泣き疲れたのか、
しばらくすると再び眠りにつけた。

最近ようやく自らに自信が持てるようになったと感じていた矢先の出来事で、
すごくショックだった。




1月8日       バレた?

昨日は銀座界隈をショッピングしたこともあり、今日はまずは浅草で観光。
日本らしい場所柄、吉野家で私は牛丼、パートナーは朝定を食べちゃった。
実は私は、サラリーマンや男性の行く飲食店って、昔からほとんどいったことがなく、
すごく好奇心があったの。

店員さんが二人の写真を撮ってくれたりと、思いっきり観光客して来た。

次は再びショッピングに渋谷へ。
パートナーに何人かの男の人が、貴女を見ていたよと指摘を受けたものの、
その時は全く気にも留めていなかった。

ここではこれでもかといった具合に、ショッピング三昧。
気付いたのは、サイズがSかMばかりが目に付くこと。
そして、よく目を凝らしてみると、女性達も皆と言っていい程、同じような
体型をしている。恐るべし日本。
カルチャーショックに陥ってしまった。

ショッピングの後は、彼女のリクエストもあり、歌舞伎町に向かったの。
界隈の飲食店から出ようとした時、男の店員さんの視線を感じた。
二度にわたって、私をじっくりと舐めまわすように見られて、不気味だった。

今日も既に何度かトイレに入っていて、変な目で見られることも無かったし。
パープルに黒の豹柄のタイツも普通だし。

なんか後味悪いなと、歩き始めてしばらくすると、ニューハーフパブがあった。
そうだったんだ。OLにしたら髪の色が薄いし、シャドーの色も濃い目だったし、
香水もしっかりと付けていたから、バレていたのかも。
とはいえ、滞在中も大体こんな感じだったけれど…

一番の安全地帯と思っていた界隈でまさかの出来事。
渋谷でもそう見られていたのかな。
これにはさすがの私も笑うしかなかった。



1月15日     問題な人

私のこと。
珍しく、上司が私の女性化のことを話してきた。
私の姿を見た彼の顧客、知り合い、日本人社会に流れる私のウワサ。
私に対する意見は肯定派、否定派とはっきりと分かれていることを聞かされた。

初めて聞く彼のホンネ。
それは、私に以前のように男性に戻って欲しいということ。
今の状態の私をどう扱って良いのか分からない。
今更ながら、もう後戻りできなくなったことを説明したら、やはりとは思いつつも
すごく悲しそうだったの。

彼の一番心配していることは、私が趣味で女性の格好をしている程度に
世間から思われること。海外在住の日本人は、保守的な人が多いことも。

確かに言われることはよく分かる。
だから私は疑われないようなファッションをするようにしている。
仮に私が男性の格好に戻ると、それこそ世間から偏見で見られるようになるのは
火を見るより明らか。

ただ今のままでは対外的に混乱を招くとのことで、現地人顧客に対しては、
女性名を使用し、名刺も作り直すことに。
そういっても、彼の性格を考えると本当に名刺を変えてくれるか疑問だけれど。

こうして、今後、私は二人の人物を使い分けることになりそう。
メールとか、面倒だな。
しばらく様子を見る感じかな。



1月17日      カラーリング東西事情

里帰り時の飛行機で見かけた日本人女性は、落ち着いた髪の色の人が多く、
ネットや雑誌などに出ている、明るい色の女性が見当たらなく、
ひょっとして、私は流行から取り残されたのかと、考えさせられたの。

日本の街を歩いていて気付いた事は、原則的に、職業、年齢、場所によって
女性の髪の色が異なること。

OLさんは全体的に落ち着いた感じ、ファッションビルの店員さんは明るめ。
年齢が若ければより明るい傾向。

不思議に思って聞いてみると、色の規制がある会社が存在すること。
信じられない。きれいで、似合っていれば、何でもいいじゃないの。
それに対して、ヨーロッパでは誰もが、それぞれお気に入りの色をしている。

私も薄いオレンジを目指して、カラーリングの度に明るくなる色を見て
楽しんでいるのに。ただ私の悩みは、20代の頃より白髪が多めだったから、
なかなか思うように行かないこと。それよりも、以前ブリーチして痛んだ髪を
何とかしないと。今の髪にはツヤがないの。

そう言っても、日本も、子供の頃と比べると、髪の色やヘアスタイルが、
ずっと個性的になったかな。会社の規制も時間と共に無くなれば良いのにね。



1月18日      私の新しい香り

嬉しいことがあったの。
去年の後半から探していたものが、最近、ようやく見つかったこと。
それは、香水。

お鼻が麻痺するほど色々試したものの、なかなかこれといったものが見つからず、
パートナーのものを借りたり、人から貰った物を何となしにつけていたりして
いたけれど、何か気持ちがしっくりとしなかった。

日本に向かう当日、たまたま家にあったミニチュアボトルを適当にポーチに
入れたのがきっかけで、しばらく使ってみると、心地よい甘い香りで、
時間が経っても服が臭くならない。

先週も毎日お仕事にその香水をつけて行ったほど。
楽しみが一つ増えた気分。



1月20日      もう一つのハーフだよ

久々に同業者の会合に参加。
既にウワサに聞いていてあまり反応を示さない人。
つまり扱いに困っていたのかな。
変化した私を見て褒めてくれる人。
以前に何度も会っているのに、私に誰と聞く人など、反応はさまざま。

前回はスーツ姿だったから、仕方がないね。

初めて会う人もいて、名刺交換になり、嫌だなと思いながらも渡すと、
名前を見て驚かれつつも、
「なんだ、ハーフ(現地人との)の女性だと思っていました。」
そう言われると、
「オトコとオンナのハーフです。」と笑って、かつてには無くリラックスして
答えることが出来たの。

いつもこんな感じでいられると、気持ちが楽なんだろうな。
今の私にはもう少し時間がかかりそうだな。



1月22日      悲しいのちステキな夜

私のことを知っている顧客に、二人で新年会でもやりませんかと誘われた。
私は、久々のデートだと、グロスを塗り直し、香水も改めてつけ、
気合を入れ待ち合わせ場所のお店に向かったの。

女性としてお買い物に付き合ってほしいのかなと思うと、いきなり支配人を
呼んで何かお仕事の話を始めた。私がその場を離れ、ショッピングモードに
入ろうとしたら、私のことを突然紹介された。

最初はにこやかに私に名刺を差し出され、顧客の顔もあるから、
私の名刺を渡した瞬間、みごとに表情が冷たくなるのを感じた。

日本から派遣されている人だから、免疫がなく、非常にまずかったみたい。
今、名刺の名前を変えているところで、昔のですみませんと言ったものの、
もうその時点で相手にされていなかったみたい。

デートモードでシャドーも濃い目、爪はピンク、ヒールのついたレオパード柄の
靴を履き、香水を匂わしているようじゃ、言い訳もできない。
ニューハーフなんてビジネスの世界では存在しなく、あるのは男と女のみ。
このままでは、社会的な信用も失うだけ。
もう私はオトコとして存在があったことすら、隠さなければならない。

気分を取り直し、お店を出ると顧客に、お洒落なイタリアンを見つけたから、
そこに行きましょうと提案されたものの、時間が早かったこともあり、
最近カフェめぐりに凝っている彼のお目当てのお店に入ったの。

アールヌーボー調でステキなところだったけれど、カフェよりもレストランみたい。
メニューを見せてもらったら、炭火で焼いたアルゼンチンのお肉を食べさせる
ところだったの。お肉は太りそうだから遠慮したかったけれど、彼が食べたそう
だったし、お洒落な雰囲気だったので、そのままテーブルに移動。

最初こそは、私が年末年始の日本でのことを話したものの、後はその人の
お話の聞き役に。お仕事の話が多かったけれど、目標に向かって頑張っている
男性を見るとすごくステキに感じ、頭の中もすっかり女性モードで、
相槌を打つときも、話を聞くときのポーズも、極力可愛らしく振舞っていたの。
そうすると自分でも信じられないくらい、女性のオーラを感じた。

こんな夜を時々感じてみたい。
誰か私をデートに誘ってくれないかな。



1月23日      新しい名刺はどうなったの?

昨夜のこともあり、私の送信メールに明記される昔の名前を削除し、まりなのMの
イニシャル+苗字に変えたの。本当はMarinaにしたかったけれど、まだ多くの
顧客には無理だしね。それでも初めて打つメールに表示される署名は、
Marinaに変更しちゃった。とは言え、状況により使い分けないといけないのが難点。

ところで私の新しい名刺はどうなったんだろう。
重要さを訴える意味で、昨夜のことを上司に話すと、かなり固まった後、
発注済だと教えてくれた。本当かな。

えっ、まりなってどういう字かは説明していないのに。
どうしたのかな。そう思って聞いてみると信じられない答えが。

今回は、日本語を入れなかった。
日本語表記がない方が、よりハーフらしく見えるでしょ。だって。
それじゃ、私の名前が「まりな」でなく、「マリーナ」と解釈されてしまいそう。
それが狙いなの?

私がハーフの女性かと、オフィスを訪れた人たちに聞かれたことを逆に
利用し、対外的にそう扱うことによって、変な日本人を雇っていないことに
しようとでも言うの?

日本人顧客に対して、日本語で名前を入れるのは重要なこと。
それをしないのは、私が大きく格下げされたことも意味するしね。

実に気分が悪かった。
もう人にオカマと思われてもどうでも良くなってきた。



1月24日      瞬間最大風速165km/h

久々に寒さが和らいだ天気の良い週末。
昨夜の暴風がウソのよう。

お買い物の途中まずは給油のためにガソリンスタンドへ。
車を降りるとすごい突風が吹いていて、髪が瞬時に乱れてしまった。
停まっている車も少し揺れているほど。

ところでここでは、セルフが普通で、お兄さんが給油してくれるところは、
10スタンドがあれば、1もないほどに非常にまれ。

日本はどうか分からないけれど、こちらでは給油方法は二通り。
1)満タンや好きな金額を入れ、後でスタンド内のお店にて清算。
2)最初に10ユーロや20ユーロなどを支払い給油。
  その金額に達すると自動的に給油がストップするので、現金清算で、
  手持ちの予算が限られているときには便利。

強風の中、車を走らせお買い物を終えて、駐車場に戻ると、快晴にもかかわらず、
台風かハリケーンが来ているんじゃないのいった位の暴風に変わっていたの。

ドアを開けると、すごい勢いで扉が閉まろうとするので、乗り込むのにも一苦労。
こんな時、筋肉が落ち、力がなくなったことを実感。

とにかくこんな暴風に遭うのは初めてですごく恐かった。

ニュースを見ると別の街では、瞬間最大風速が165km/hのところもあり、
大木が倒れたり、体育館の屋根が落ちたりと大変な状態になっていた。
快晴で暴風が吹き荒れるなんて、ちょっと信じられない体験。



1月25日      ホルモンの副作用

ホルモンを始めると血栓症や爪が割れやすくなったりなど何らかの
副作用が生じることが多いみたい。

私の場合は前者は初期に軽い症状が出たのみで、後者に至っては、
この一年360日以上をマニキュアを塗った状態にもかかわらず、
今のところは元気な状態。

ところが、私には別のところに副作用が現れたみたい。
それは、目。

去年おクスリを始めて2ヶ月目に入ると、オトコ臭い肌が少し白くなると共に、
目の色が以前よりも、なんか薄くなってきたような気がしたの。

最初は、そんなはずないよね、思い込みかな程度だったけれど、
太陽がこれまで以上に眩しく感じるようになったことは確か。
そして、昨年夏に日本に帰った時、妹に目の色が薄くなったねと言われて実感。

今思えば、私の見た目の国籍がおかしくなり始めたのも、そのあたりから。

夏が終わっても、車の運転時に、サングラスは欠かせなかった。
それでも、冬の弱々しい太陽の下では不要だろうと、最近それが壊れたこともあり、
昨日は裸眼で運転していたら、眩しくって運転に耐えられないほど。

たまたまパートナーのものを借り無事に運転できたけれど、早く新しいのを
買わないと、車にも乗れない。

不便な状態になっちゃた。
こんな副作用の出た人は他にもいるのかな。



1月29日      蓋が外れない

クリスマス時期にたくさん食べて、少し太った状態で日本で年末年始を
過ごしたものだから、見事に太り反省した私は、お弁当箱を買ってきたの。
くまさんの顔の形に絵がついた、サイズも幼児用で、ダイエットにはぴったりのサイズ。

今日はそのお弁当箱を持って行き、レンジで温め、さて食べようとしたら、
蓋が外れない。力がなくなったな。そう思いながら、今度は気合を入れて見ても
全く反応なし。よく見ると蓋と底が少し凹んでいて、密閉状態になっていたの。
これまでにも、お弁当を持っていった時は、蓋をしたままでも問題なかったのに。

今度はおサルさんみたいに、道具を使ってこじ開けようと何分か格闘したものの、
結果は全く歯が立たない。教えてよ、どうしたら開ける事が出来るのと問いかけても、
蓋のくまさんはただ私を見て微笑むだけ。

ネットで調べると、お湯の中で温める方法が良いみたいだったの。
でも、ここでは出来ない。
仕方なしに今日のお昼は、蓋の透明の部分から見える、パスタを眺めながら、
キウイ一個でおしまい。
まあ、ダイエットとして考えればいいかな。

そして、帰宅すると早速お湯の中で温めてから、ナイフをパッキンとの間に入れて
ゴキゴキするとようやく開いた。
うれしい。
こうしてお弁当は、本日のディナーに。

最近の私は肉体的にも精神的にも疲れているから、
たとえこんなことでも嬉しかった。



1月30日      これぞケーキ

今日は金曜日。久々に外でお食事することに。
そう、こちらって外食費が高くて月に何度も行けないのよね。
日本は、急激な円高が進んで物価が高いなと感じたものの、
食事代は、まだまだ安く感じたほど。

ストレス発散もあり、豪快にいこうということになったの。
向かった先は、アメリカ料理屋さん。

まずは飲み物をオーダー。
ショッピングの後で、喉が渇いていた二人は、もちろん生ビール。
わずか500mlのくせにジョッキがすごく重く、飲み応え感も十分。
ビールの味もいつもより美味しく感じた。

お料理は、前菜にサラダをシェアすることに。
出てきたものは、まずお皿がやたらとデカイ。
サラダの上には、チーズ、カリカリベーコン、チキンカツを小さく切ったものが
乗っかっていて、これだけでお腹が一杯になりそう。

そして、いよいよ真打の登場。
彼女が大きそうなサーロインステーキを注文したこともあり、私も調子に乗り、
ベーコンバーガーのS,M,LとあるうちのLサイズを頼んじゃったの。
日本じゃ恥ずかしくて頼めないけれど、こちらだったら結構平気だったりするの。

予想はしたものの、迫力がスゴ過ぎ。
3/4ポンド(約340g)のお肉は大きいだけでなく、厚さも貫禄十分。
とてもかぶりつけるものでなく、フォークとナイフでギコギコと切りながら
食べるしかなく、ハンバーグステーキを食べているような感じ。

そう言えば、アルゼンチンで食べたハンバーガーもこんなサイズだったな。
でも、あの時は豪快にかぶりついていたけれど。

炭火で焼かれたお肉の塩加減は良く、注文したミディアムよりも火が通り過ぎず
焼かれていたので満足。!(^^)!
それでも広島で食べたハンバーガーには、及ばないかな。
それだけ食べにまた広島に行きたいな。

ただ、付け合せのチョイスにはちょっと失敗。
フライドポテト、ベークドポテト、コールスロー、グリーンサラダの中から選択。
おイモ類は太りそう。(もうハンバーガーのLサイズを頼んだ段階で太るのにね…)
サラダは前菜でも取ったからとコールスローに。
付け合せにしては、ハンバーガーに負けないくらい自己主張が強いのか、
量が多く、ソースも実にヘビー。
そんな事で、これだけは少し手を付けただけで終わり。

気持ちグリーンサラダが付けあわせであったものの、こちらも大量の
マヨネーズが入った容器が添えられていたの。
それらを全部食べれば、すごいカロリーなんだろうなって考えちゃった。

二人ともメインをいただいたところで、お腹がいっぱい。
後はブラックコーヒーだけでいいかなと思っていたものの、
なんとパートナーがケーキを一つ注文しちゃった。

こちらのケーキは日本と比べるとサイズが大きいけれど、私たちの目の前に
現れたものは、とても食後のデザートと思えないもの。
二辺の長さがそれぞれ15センチ位、高さもハイヒール程度(7-8センチ)の上に、
クッキーの乗ったチョコレートブラウニーで、メインに負けないくらい迫力満点。
ケーキはもちろん、日本の優しいお味とは異なりヘビー級。

二人がかりで攻めて行ってもケーキが横に倒れるまでに、時間がかかるほど、
どっしりと構えているのよね。

最初はこんなの絶対に食べきれないよねと言っていた二人だったけれど、
あっさりと平らげちゃった。やはりスゥイーツは別腹なのかな。

今夜はこれだけカロリーを取ったから、また太ったかな。
でもいいや。精神的にリラックス出来たことの方が大切だから。
また明日からダイエットすれば良いことだし。



2月1日       静かな休日

暗い朝だなと思いながら外を見ると雪。
しかも大粒のぼたん雪で、すでに結構積もっていたの。
外に出てみると、すぐに小型の雪だるまが出来てしまったほど。

これじゃお買い物にも行けない。
せっかく今日のお昼はスパゲッティ・ボロネーゼに、ワインを添えてと思ったのに。
ダイエットと思えばいいか。

お酒のない週末。
少しでも女性らしい体型になりたい気持ちから、今は自宅でアルコールを
飲むのは週末のみに控えているの。日本では生中6杯なんて日もあったしね。
最近は、体も順応しているみたいで、意外と苦痛にもならない。
以前の私には考えられない、不思議な状態。



2月2日       気疲れ

金曜日のできごと。

ある日本人女性から午後にオフィスを訪れたいと、わたし宛に一本の電話が。
特に予定もなかったので、どうぞの一言。
ところが、しばらくすると、大事なことを忘れているのに気づいたの。

実際に面識のない日本人と会って業務上のお話をしたことが、まりなとして、
これまでになかったの。

困った。
どんな声で喋れば良いのかな。
私のことを知っている取引先には、特に気にしていなかったし、外国語を
話すときも、少し優し目に話せば女性になり切る事は特に問題なし。
先週もあるところに電話して切るときに、電話に出た人が私の名前を間違って、
じゃあ、バージニアと言われた位だから、難易度は低いもの。

どうしよう。どうしよう。
考えてもどうにもならない。

そして、来社された。
トーンを少し高く、ゆっくり目に話すようにしたけれど、私の耳に入るのは、オカマ声。
落ち着かない私に対して、相手はすごく冷静に私のお話を聞いていくれるから、
余計に疲れちゃった。

今後は、日本語を話す時は、声を出来るだけ意識して、人と話さないといけないな。



2月3日      私の名前はマリーナ

ようやく届いた私の新しい名刺。
確かに名前は変わっていた。けれど、「まりな」ではなく、「Marina」。
どう見ても「マリーナ」にしか読めない。
でも、これで十分かも。先週も取引先の日本人女性から、新しい名前を
聞かれた時も反射的に、「マリーナ」と答えてしまったし。

上司から私が女性化を始めるにあたって、散々な事を言われた一年前。
それにも屈することなく、ただ前進することだけを考えた一年間。

会社側の提案により、名刺の名前が変更になったのだから、
ある程度の成果は認められたと考えたい。

今後は、これ以上に厳しい試練が待っているのも確か。
名刺交換をする以上、どんなことがあっても声などから、オトコであったことを
悟られてはいけないなど。今の私にとっては高いハードル。
そして、お顔のことを気にするのは論外。

嬉しい日だった。
にもかかわらず、私の日記は、ハッピーエンドで終わることが出来なくなった。
出かけようとした私に「待った」が、かかったことで。

今日は続きを書く気にもなれない。



2月6日      嫌な社会

私が外出する旨を上司に伝えたところ、わざわざ私の居るフロアまでやって来て、
行ってほしくないと、非常に困った顔をして、まずは言葉を発したの。

話によると、あるところに顔を出し、情報交換も兼ねてそこに居た日本人たちに
挨拶をすると、誰もが、私に対する話で持ち切りで、なかなか別の話題に
踏み出せない。それも、なぜまだ私を雇っているのか。営業上好ましくないから
早く何とかすべきなど、大半がかなり否定的な意見で、精神的に参っているとの事。

在住年数の長い人ほど、保守的で、クセ者が多く、ただ聞き流すだけで、
反撃すら難しいらしいの。しかも彼らは、話題に乏しいのか、一つのターゲットを
見つけると徹底的に叩く事が好き。こちらが長い人何人からも聞いているし、
私自身も知っているけれど、とにかく裏で話されるのは、人の悪口ばかり。

上司ははっきりと言わなかったけれど、女装好き、単にオトコが好きな変態
程度にしか思われているんだろうな。そんなことをチラッと言えば、
彼も苦笑いをしていたから、やはりそうなんだ。
そうじゃなきゃ、ここまで話題にならないし。
だから私は一切日本人社会に、関わらないようにしているの。

それに、私のことを誹謗中傷する人たちは、少なくとも私の今のお顔を知らない。
私が訪れようとした企業も、超反対派の支店長がいるところだったの。
それだったら、この顔を直接見せてやろうかと、一瞬は思ったものの、上司から
そんなことをしたら、電話が掛かってきて、また色々と言われるとのこと。
そうよね。行っても、彼らは自分の主張を曲げないだろうから、余計な難癖を
付けられるだけ。

今の私はそんな事は全然気にもならない。
先週もある企業から、私を応援をしますと言われたばかり。
それに、ある程度の自信がなければ、まりなとして企業訪問もしないわけだし。
会社も名刺の名前を変えるなんて事は、してくれるはずはない。

ただ、気になることが一つ。
上司がプレッシャーに耐えかねて、私をクビにすることも現実味を帯びてきた。
彼曰く、それでなくても、私の性格は難しいと。

今回は何としてでも、彼に乗り切ってもらわないと。



2月7日      出発ターミナル

私は空港の出発ターミナルが苦手。
別れのシーンがあるから。

パートナーを空港に見送った時も、別れ際に涙がこぼれてしまった。
でも、それは、別れに対してとは違うもの。

彼女のお父さんが亡くなった。
会社にも休みの許可を取り、航空券の手配も二人分済ませた。
ところが、その夜、彼女に一緒に来ないで欲しいと言われたの。

彼女の家族が私のことを知っているとは言え、未だ、今の私の姿を見たことがない。
ただでさえ、一家の大黒柱を失ったショックで皆が精神的に参っている状態なのに、
私に会うとよりショックを受けるから。
これが、彼女としての理由。

「お化粧をしなければ大丈夫でしょう。女性らしい顔をしていないから。」
そう言っても、あなたには男性のオーラがない、オカマみたいでよりひどい。
あなたはもう私のダンナでないの、まりなという名の女性ということを忘れないでと、
答えが返ってきた。

それに、服は、靴はと突っ込まれた。
メンズのそれらは、去年の夏に全て処分されているから。

悲しかった。でも、一番それを感じているのは、私よりも、こんな時でさえ、
一人で行かなければならない彼女に違いない。
彼女には、それ以上何も言えなかった。

そして、見送りに向かった空港。
私が感情を抑えきれず、泣いてしまったのは、彼女が一番辛い時に何も支えて
あげることが出来ないこと、お葬式にも行けないほどの、情けない人間に
なってしまったことから来る悔しさ、そんなことからだったの。

どうしてまりなとしての道を、選んでしまったのかしら。
私の決断が、間違っていたのかもしれないと、自らを恨んでしまった。



2月9日      嫌な役目

不採用通知。
機械的に冷たくならない様、人によって文面を変えて送るようにしているけれど、
貰った人は、嬉しい知らせじゃないから一緒かな。

私も一度日本で、送られてきた不採用通知に、弊社では貴殿のようなキャリアを持った
人物を使いこなす人材がありませんだったか、そんな内容だったけれど、
全然嬉しくなかった。

文面どおりに読むと、私が優秀すぎるとも読めるけれど、そんなわけないし、
それだったら採用されているはず。
実際は、こんな意味になると思うの。
「貴方は外国生活が長く、考え方が外国風で、自己主張も強いようであるから、
弊社では使いこなすのは難しいと判断し、採用を見送りました。」

それでも、今思えばその人も目一杯考えた文面なんだろうな。

それにしても嫌な役目。
何度送っても気分の良いものじゃないのよね。



2月10日     もっと女性らしく

上司に注意をされちゃった。

お仕事のことではなく、私の階段の昇り降りがうるさく、普通の女性が
しない事をするねと。

彼の言い方に、ちょっとキレそうになったけれど、正直、恥ずかしかった。
もし彼が、私のことを女性として、そう言ってくれたのであれば、うれしいな。

そうよね、去年の私は、お顔が女性らしくなることしか考えていなかった。
会社の中では、話し方、振舞い方も、どうせ私はオトコなんだからと、
特に気を使うこともなかった。

最近はこれまで無視していた一人の同僚からも、マリーナと呼ばれるように
なったことだし、もっと意識して女性らしく振舞わないと。



2月12日     結果を出せた

心理カウンセリングと、半年に一度の検査結果を聞きに病院に行ってきたの。

まず、心理カウンセリングは、一年以上振りで初めての先生だったこともあり、
私については、過去をレポートで、読んで知っている程度。

一番苦しかった、去年の夏のことを話しても、なぜ私がそれほどまでに
苦しむ必要があったのかと、分かっていないみたい。
その度に、以前の私のお顔はもっと男らしくとか、色も黒かった、
日本はレベルが高いなどと、いちいち説明を要したほど。

その時こそ、カウンセリングが必要だったのにと、改めた感じたの。

あとは、頬が女性らしいと褒められたけれど、私にとってはどれが女性らしのか
分からないので、全然ピンと来なかった。
でも、整形したのとは聞かないでよね。ナチュラルなんだから。

お化粧をナチュラルだと、褒められたのは嬉しかったな。

次は前回にけんかをして、検査結果さえ聞いていなかったホルモンの検査値。
ちゃんと女性としての値になっていた。

それよりも気になったのは、私の顔を見た主治医の驚き様。
そんなに私の半年前のお顔がひどかったのかな。
大きく変わったとは思えないけれど。
日本のレベルではごく普通なのに。

先生はこれまでになく、私に対して終始ニコニコしていたけれど、感じたのは、
医師と言えども、結果のみを重視して、努力はどうでも良いんだと言うこと。
おクスリを始める少し前には、頑張ってスカートを穿いていったのに、
そんな顔で、女性になるつもりかといった嫌な態度が剥き出しだったから、
信じられなかったのかもしれない。

もっとも信じ難かったのは私の方。
これから頑張って、女性らしくなろうとしている時だったのに。

悔しかったから、結果を出して見返してやることしか考えなかった。
結果は、予定の2年の半分で、ここでの、全ての基準値を余裕でクリアしたから、
かなり褒められても、嬉しさではなく、ザマア見ろと感じたのも、否定できない。

また、変な質問も。
お化粧は誰かにしてもらったのかって。
あのね、そんなわけないでしょう。

今後、病院内での私の評価値を上げるには、これまでの何倍もの努力を
しない限り、目立ったものにならないと思うの。
今は具体的にどうすれば良いかは分からない。
でも、もっと頑張って日本人の凄さを見せてあげないとね。

実は今回、何よりも嬉しかったのは、褒められたことでなく、11月末よりも
ウエストが5センチ細くなっていたこと。でも、体重は同じだったのがショック。



2月13日     ついにやっちゃった

この夜、久々にお友達たちと飲み屋さんをハシゴする約束があったため、
実験の意味も含めて、遂に思い切ってあることを決行。

より女性らしい格好をし、スカートを穿いてお仕事に行っちゃった。

同僚たちは相変わらずの無関心だけれど、上司は外出の際にとても嫌そうに
していたから、やはり、かなりの抵抗があったみたい。
それに、運の悪いことに私も面識のある、彼の知人男性が事務所に来て、
私の姿に驚かれ、フォローぐらいしてくれてもいいものを、更に嫌な顔を
しているのが、スローモーションで読み取れたほど。

後に私のことを聞かれ、意見をされていること、私を守ろうとしていないことは、
容易に想像がつく。

たとえ私が、オトコの要素を残しているからまずいと言われいたとしても、
お友達以外の人前には出れなかった半年前だったら、落ち込むことしか
なかったけれど、今の私には何の脅威にもならない。
最近は社会の荒波に揉まれる事に慣れたことだし。

上司の態度には、かなりショックだったけれど、良いこともあった。
最近、私のことをマリーナと呼んでくれる同僚が、帰り際に、私のスカートが
ステキだったよと、褒めてくれたの。



2月15日     昨日はバレンタインデーだったのね

日本にいた時は、2月14日が近づくと、バレンタインデーも近いんだなんて
思ったものだけれど、こちらに来てからは、随分と印象の低い日になったもの。
今日も思い出したように、小さなレモンムースケーキを二つ買って、
パートナーと食べたけれど、お昼のデザートといった程度。

ここでは、チョコにこだわる必要がないの。

街中を歩いていても、バレンタイン商戦といったディスプレーを見るものの、
至って地味。それ以前に、人が余り関心を持っていないのもあるかな。
その分、結婚記念日などの記念日は、日本よりも重要視されている。

結婚した当時、パートナーにバレンタインだから、チョコを頂戴ねと、
一週間位前から毎日のように言ってようやく貰ったくらい。

こういったイベントって、日本の方がずっと盛り上がって楽しそう。
来年はこの日をもっと意識して、誰かにチョコをあげたいな。



2月16日     駐在員の奥さま

上司を訪ねて日本人女性の来客が。
ところが、彼はまだ出社していない。
ちょっと、早く着いたみたいと言われ、そのまま別のフロアで待ってもらう手も
あったけれど、受付嬢らしく、携帯に連絡しますから、お名前をと聞いたところ、
私のことを知っているはずの人だったの。

まずい、この人には私の素性が分かってはいけないんだ。
電話なんかしたら、声でバレちゃうんじゃないの。
そう思いながらも、オカマ声で上司に電話をして、その場は何とか私の事が
分からなかったみたい。

後で、気になって上司に聞いたら、新しい女性が入ったの?
駐在員の奥さん?と、聞かれたと答えが返ってきた。
さらに、私の主人(?)の業界まで指定されたというのは、どういう意味なのかしら?

駐在員の奥さんと言うことは、こちらが長い女性にありがちな、自己主張の
強そうな人でなく、優しい感じを与えたのかな。
仕草も自分でもオカマっぽく、クニャクニャしていたし。

何よりも、声を乗り切れてホッとした。
女性として生きて行くのも、改めて大変だなと感じちゃった。



2月20日     私は不要な人材

一週間前、上司の知人来社時に、上司に凄くいやな目で見られて以来、
不快感が募った事もあり、一昨日朝一番に話があると言ったら、まるで厄介な
人間を避けるかのように、オフィスを出る間際に、そういえばと言ってきたり、
昨日は一切無視。今朝、少し強く言ったらようやく話し合いに応じてくれた。

私は不快な目で見るのをやめて欲しい、それを言いたかったのに、
彼から先制パンチを受けたの。

他に良い仕事があれば言って欲しい。
つまり、私が今辞めてくれたら、会社が解雇した扱いにするとのこと。

理由は日本人社会で私を雇っていることにより、このように言われるから。
私を雇うことはデメリットしかない、上司は経営者として失格、
上司までホモだったの、などその他色々。
そこまで言われるとプレッシャーで精神的負担を感じ、現在では私をどうするか
五分五分だとのこと。

お顔に自信がなかった半年前だったら、その時点で私は崩壊していた。
でも、今はあくまでもこのレベルの低い国のレベルでのお話だけれど、
他のGIDの患者さん達には負けない程の自信があるし、病院での評価も
それなりに高いと、私に対する異様な褒めからも想像がつく。

それなのに彼はそれを誇りに思うことなく、ただ私をキモく感じるだけ。

更にこんなことも言われた。
私が女性化を始めたこの一年は、仕事に対する集中力が落ちたように見える。
信じられない。昨年は女性化が決して仕事に支障をきたさない事を
証明する為に、一昨年前以上に成果を出したし、仕事に対しても
余裕が持てたから、集中していますよといった表情をあえて出す必要が
なかっただけ。

さすがにこれまで強気だった私も、涙がこぼれるのを必死で堪えたくらい。

ところがその反面、私の名刺の名前を変えたりするし。
もう彼が何を考えているか理解出来ない。

これまでは彼のことを考えて、日本の重要な取引先には男性として仕事を
していたけれど、もう来週からはそうすることを止めようと思うの。
そして、今後はスカートも堂々と穿いて出社するつもり。

こうなった今、私はより自分らしく生きようと決心したの。



2月21日     気付かぬ変化

昨夜はお友達のところで夕食をご馳走になり、遅くまでお話して楽しい時間を
過ごせ、ストレスも幾分か解消されたけれど、あまり眠れないことも重なり、
心身ともに調子が悪く、今日は、半日以上をベッドの中で過ごしていたほど。

そんな怠惰な時間に感じたのは、私が精神的に弱くなっているのではないかと。
以前の私だったら、上司に気に入らないことを言われたら、キレて怒っていた
と思うのに、昨日は涙をこらえるといった状態に陥ってしまったから。

これまでそういった弱々しい表情は、パートナーしか見せたことがなかったのに。
それを家の外でも見せてしまった事が、すごく悔しかった。
正確には、悲しい感情を怒りに変えれず、素直に悲しい感情を表してしまった事。
自分でもなぜ、そうなったのか、理解できない。

そして、誰か男の人に、優しく抱きしめてもらいたいとも強く感じた。

私の知らない間に、わたしは別な人間に変わりつつあるのではないかと思うと、
何だか恐ろしくなって来たの。



2月22日     蘇った記憶

お天気の良い朝。
何気なしに、外を眺めていたら、疲れている時、気分転換に旅をして、
帰った来たらすごくパワーが蓄積されていたことを思い出した。

炎天下の中、汗だくになりながら、サバンナの中を、時には、記憶が曖昧だけれど、
とうもろこしかサトウキビ畑を掻き分けながらひたすら歩き、目的地に到着した時の
爽快感が脳裏に蘇った。

タトゥの似合うワイルドなお姉さんになって、世界を駆け巡る姿を想像したことが
以前にあったな。

そんなことを考えていると、ジンバブエを訪れた記憶が、どんどん溢れ出して来て、
久々に旅行記を書いてみることにしたの。

色々な体験をしたり、私ってこんなにサバイバルな人間だったかなって、
別人のことを書いているみたいで、ちょっぴり不思議な気分。

「強靭な精神は強靭な肉体に宿る」
そう考え、実践し、体で感じた私は、そろそろどこかを旅した方がいいのかな。
グリーンベレーのサバイバルマニュアルを、昔のように、バックパックに入れて。



2月23日     ちょっぴりうれしかった

ある日系企業に書類を依頼したら、メッセンジャーで送られてきた。
封筒を見るとMs. Marinaと宛名が書かれていたの。

依頼先の人は私のお顔を知っているけれど、新しい名前は知らないはず。
不思議に思っていると、メールで依頼した時の署名欄が、「Marina」と
なっていたから、気遣ってくれたんだ。きっと。
優しい…

今や日増しに、日系社会の私の顔を知らない人達の間で、誹謗中傷が激しく
なっているのに、私の事をきちんと見てくれている人がいることを知って、
少し嬉しくなった。


2月25日     何しようかな

月曜は頑張って行ったけれど、昨日はさすがに嫌になり、明日休みますねと
今日は会社をお休みしちゃった。
他に用もあったけれど、別に休む程でもなかった。

たまに平日にお休みすることがあるけれど、今日はお仕事に行かないで
良いと思うだけで、非常に気分がいい。
朝日を眩しく感じながら、シャワーも浴びたし。

今日は何をしようかな。



2月26日     新たなる支持

業務上でもより自分らしく生きようと決心した事もあり、日本の重要な取引先に
電話でのお仕事の話の後に、ついに私のことを少し話ちゃった。
もう自らの保身や、会社の為を思って、我慢する必要もなくなった事だし。

でもそれじゃ、あまりにも一方的になると思い、一昨日メールにもう一度内容を
整理して、相手にも否定的な答えを選択できるような内容のメールを送っておいたの。
GIDを訴えることは嫌いだから、極力事務的にして。

そして、今朝メールをチェックすると、二人の責任ある立場の人から、
非常に好意的なメッセージが入っていた。
しかも私の仕事内容を評価するコメントも入れてくれて。
お礼の返事を書く時に、上司には頭に来ているから、B.C.C.で一緒に送ってやった。

今後まりなの名前を、多くの国に披露する事になりそう。

また一つ勝ち取る事が出来てうれしい。



2月27日     心ときめく優雅な時間

顧客に届け物があり、昨日電話をするとお仕事の後に軽く一杯飲みながらと
いう事になったの。以前に色っぽくなったねと言っていくれたことを思い出し、
お洒落して行きたくなり、見るからに夜はお出かけモードで、全体を黒で
コーディネート。もちろんスカートを穿いて。

当日指定された待ち合わせ場所が、5つ星ホテルでちょうど良かったかも。
普段あまり履かない踵がストラップになったヒールだったこともあり、
会社を出たらもう足が痛くなっていて、ホテルにようやくたどり着いた感じ。
喉が渇き、ビールをクィーと飲み干したかったけれど、場所柄我慢して、
お上品に白ワインを注文。

その人はアフリカとも関わっていて、自然とそちらの話が多くなるけれど、
私も何カ国かは訪れていることもあり、結構盛り上がって楽しいのよね。
ただ、アンゴラの現状とかビジネスの可能性など、私の知らない話も出てくるから、
もう少し勉強もしないと。

先週会社に言われたことを話すと、そろそろ独立すればどうなんて意見も。
同業のお仕事ではなく、女の子のいるお店でも開いてみたらと。
精神的な応援だけでなく、少しぐらいの資金援助ならしてくれるとも言ってくれた。
やさしい♪ でも、私がキモがられて、誰もお客さんが寄り付かないかもね。

お互いのグラスが空になった頃、彼が時計を何度か見はじめたため、
後に接待が入っているのかなと思うと、ホテルの中に美味しいと聞いた
中華料理屋さんがあるからいかがと提案された。

その時ようやく、なぜこのホテルが集合場所だったかを理解できた。
嬉しいな。ちゃんとレストランまで事前にチョイスしてくれていて。
この瞬間また女性ホルモン値が上昇しちゃったみたい。

席に案内されると、その勢いで、羽織っていた白いカーディガンを脱いで、
ノースリーブのお洋服を披露したら、肩から胸元を飾る薔薇の花を褒められちゃった。
ちょっと寒かったけれどね。

お味もこんな美味しい中華のお店があったんだと思うほど。
運ばれてくるお料理だって、様子を見ながらサーブしてくれるし。
いつもの、お皿を次から次に持ってきてテーブルにドーンと置かれ、
お皿の中でお料理が混ざってゆくのとは大違い。

ここでは中華って、安いお料理の代名詞で、質の悪いところも多いの。
テレビのドキュメンタリーでも、実態はこうだと放送されたことがあったけれど、
恐ろしい内容だった。実際にお肉の感触が不気味だったり、後で後頭部の血管が
圧迫された感じになる事も何度かあったし。

デザートのメニューも杏仁豆腐や、既製品のガチガチに凍ったアイスクリーム
であることが多いけれど、ここのものは目移りしそうなものばかり。
お料理は彼にチョイスしてもらったけれど、デザートを選ぶのは私の役目。
チョコバナナアイスを春巻きで揚げたものを注文したら、一口サイズのものが
お皿に盛り付けられていて可愛かった。
こちらは二人で仲良くシェアしちゃった♪

今夜は久々に楽しい夜を過ごせてしあわせだった。
特にキュンと来たのは、お食事の途中に私のことをこれまでの苗字でなく、
まりなと名前で呼んでもらったことなの。


    ..........      


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