Burkina Faso 4

当初私はこの旅で一番のハイライトとして考えていたのが、
円錐形の伝統的な家屋の土色壁に、赤や黒の塗料で装飾された集落を見ることであった。

ナナにそのことを話すと、日帰りで行けるから一緒に付き合うよということになり、
もう一日一緒に過ごす事になった。

ワガを出てガーナに向かってほとんど対向車のない寂しい道路を、
バスで南下すること3時間、ガーナとの国境の街に到着。

私が選んだのは、ブルキナ最南端に属するガーナとの国境に近いという村を
訪れることであった。そこから先バイクをチャーターすれば良いのだが、
ナナがあまりゆっくりと時間もなく、軽トラの運ちゃんに交渉して
目的の村に連れて行ってもらった。

赤土の道を40分ほど行った時だろうか、白や黒色で独自のデザインが描かれた
壁のある鮮やかな集落が突如視界に飛び込んできた。

車を降りて我々が訪れた家は、大小さまざまな家からなる大家族が
住むような所であった。まずその家の長老に挨拶すると、一人の青年が村のガイドを始めた。
ナナの実家で円錐形の土の家を既に見ては来ているものの、
ここでは円形、四角形、の字型などがあり、それぞれの使用目的も独身男子用、
夫婦用、家長用などと異なっていて、家の形をみると、
どんな生計状態の人が住んでいるのかが区別できる。

壁には鹿、大地、豊作の願いなど色々なデザインが描かれている

の字型の家の中に入ってみると最初は涼しくていいなと思ったが、
狭く入り口が低いせいか、光が入ってこなく、一分もいると居心地が悪くなってきた。
私にとってここは眠るだけの場所にしか使えそうにない。
実際昼間はみんな外にいたし。
つづいて別の部屋に入るとそこは台所であったがその時は暑くて、
一刻も早く外に出ることしか考えていなかった。

暑さから逃げ出すかのように外に出た私が次に訪れたのは、
正反対の気持ちのいいテラスだった。
そこは穀物を干したり、寝室代わりに使ったりされているという。
快適な気候で夜空の上で、輝く星を見つめながら眠りにつくのは最高だろうな。
今晩は宿に戻らずそのままここで寝てしまおうかなということも一瞬思いついた。

しかし以前にイグアスの滝を訪れた時、その大自然の感激に
そこで知り合ったイスラエル人とドイツ人の3人でそこでそのまま野宿したものの、
早朝の雨の水滴で目がさめた私は次の瞬間、快適な目覚めを体験するはずが、
その夜に食われまくった蚊のせいで全身が痒くてたまらない一日の始まりの記憶が蘇り、
やはり宿に戻ることにした。

テラスから周りを眺めていると正面の家では女性が10人ばかり集まって、
みんなで壁塗りの歌を歌いながら壁に絵を描いていた。
それを見るや否や私もやってみたくなり、テラスを降りすぐさま現場に向かった。

あらかじめ線を彫ってあるところに黒や白の顔料で埋めていった。
それぞれの色は天然の物資で、地下メートルの深さにある土のなかのものを採集して、
使用時に細かく砕いて使うのだという。

家の群れ訪問を終えるとガイド役を務めた青年が、次のように述べた。
「我々には金が必要だ。この村には十分な金がない。
だから2年前よりこのように家を塗って、観光客を呼ぶようにしているんだ。」

道理で家の群れだけしか装飾が行われていないわけだ。
訪れた観光客のカンパで成り立っている。
そこまでは感心し、私も少ないながらも子供の持ってきたビール瓶の中に入れた。
お金を入れたけれどその後で、サッカーボール、ノートペンが欲しいなどと
少し観光ずれしかけた子供たちがしつこいので一銭もあげる気にならなかった。

別にナナの実家のような素朴な村を期待していたわけじゃないけれど、
観光客をターゲットにしている点では予想外であったが、
それはあくまで訪問者としての都合の良い意見であって、
村人たちも頑張っているんだからその辺は理解しないとねと自分に言い聞かせた。

次に訪れたのは村の市場だった。
そこでは黍、米、トマト、オクラ、焼き魚、キャツサバなどあらゆる基本的な食料品が
売られていた。雰囲気もなかなか良かったが、何かが活気を欠けたものにしていた。
私はその何かが気になり市場をもう一巡りしてみた。

それは貧しさからくるもので、早くこの市場も観光客によって活気付くことを考えながら、
宿泊先のポーへ戻った。 ワガに戻るナナを見送ると急に暇を持て余している自分がいた。
ぶっ掛けご飯を一人で食べるといった、一人旅のごく当たり前の光景が、いかにも寂しい
ものであると感じた。彼とその友人達と過ごした2日間の中身が、
何倍にも相当するほど中身が濃かったためであろうか。

実際ナナは今日の夕食に招待をしていてくれたのであるが、ワガに戻ると居心地のよさから、
動けなくなることが明白だったので、あえて旅を続けることにした。


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