Ghana 2

ガーナを陸路で移動するには4つの交通手段が考えられる。

国営バスのSTC。私営バス。タクシー、そして最後は乗り合いワゴンのトロトロ。
名前からも注意を引くように、トロトロはもっとも安上がりで、
庶民に利用されている乗り物である。

その分、ワゴンの定員なんか完全に無視するどころか、もうこれ以上どんなに詰めても
入らないといったくらいぎゅうぎゅう詰めにされる。
実際に乗ってみると、混雑していると、家畜や物品)になった気分になってしまう。

座る場所にもよるが、後部座席真ん中は窮屈、暑いで最悪、中央部の窓側の補助イスの
ところは、涼しい風を受けれることで、一見特権のように見えたが、
それはそれでかなりの疲労をもたらしてくれた。

途中でおばさんが乗ってきて、窓側の席を維持するために彼女を私の奥に入れたら大失敗。
ただでさえ小さな補助イスから半分私のお尻がはみ出て、とても座っているとはいえない
かなり不安定な状態。

後部座席の人たちは寝ているように見えても、実は暑さと、狭さにひたすら
耐えているといったほうがいいほど。

トロトロが街に着くと私はお尻、後部座席の人たちは外の空気を吸いに降りないと
体が持たないという過酷な移動。さらに道中は穴ぼこだらけで揺れるし、
たった6時間の移動がこんなに辛いとは想像もつかなかった。

ガーナ第二の都市クマシに到着して、まずはその辺に座って膝を伸ばしたくらい。
ダウンタウンまでの移動にトロトロを乗り換え降りたところはちょうど市場であった。

活気がすごく圧倒されるというより、気分が楽しくなりそうな雰囲気である。
早速探索を始めたが、どの方向も人・人・人状態。しかし不思議だったのは、
人ごみが嫌いな私でも、疲れると感じなかったことだ。

ボリビアのラパスのようにこうもりのミイラが売っているとは思えないし、
全く普通の青空市場であるが、単にそのエネルギッシュな市場に興味を持っているのか、
それともこの街に何か期待しているかのどちらかだ。私の好きなオクラも売っていた。



さらに探索を続けたが、さすがに暑さと長旅で疲れを感じた私は、
市場を抜けてカフェを探し始めた。 歩いていると前方に動物園が見え、
そこで休憩をすることにした。

アフリカというと野性動物を見るのが通常だが、あえて檻の中で生活している動物にも
興味が惹かれる。 300セディ(約30円)を払って入園する。

平日の午後で人は少ないとは思っていたが、家族連れが2,3組程度で、
異様にさびしく、お目当てのカフェテリアもなかった。動物園自体も小規模で、
チンパンジー、メスライオン(オスは不在)、ゴリラ、鹿、ワニ、七面鳥などといったところ。

他に、箱の10種類にも満たない> 動物達とハムスターなどの子供達のマスコットが
いたくらいである。 期待しなかったとはいえ、予想を大きく下回った動物園だった。

よく考えると檻に閉じ込められている彼らが、可愛そうに思い仕方なかった。
動物を見たいならサファリに行けばいいじゃないかと、そう自分に言い聞かせた。

ゆっくりと見たつもりだったが、一人だったこともありあっという間に見終えてしまった。
すぐに出るのも忙しくていやだなと、目に入ったベンチに横たわった。
その時私はここに来てよかったとようやく思えることが出来た。

すごく気分が落ち着くのである。高い樹木から発せられる花の香り、
まるで市場のいたる場所で会話を交わして いるような小鳥達。

目を閉じると、わずかなそよ風が、少しずつ旅の疲れを癒してくれる。
かなりの長時間を横になって過ごしたみたいで、空を見るとすでに赤みがかかっていた。

宿をまだ探していないことに気づき、現実に引き戻された私はようやく思い腰を上げた
動物達も暇を持て余しているのか、帰りにチンパンジーの檻の前を通りかると、
いきなり私に木の枝を投げてきた。

投げ返してやると、遊んでもらえると思ったのか、今度は遠くに向かって
鏡のかけらのようなものを投げ、私を見て取って来いと合図をしている。
動物に遊ばれるって、変わった体験をしてしまった。

外に出て、明日もゆっくりと市場を探索して、疲れたら動物園で休もうと思ったが、
あまりにも今日がよく感じすぎたため、明日は同じように新鮮に感じることが
出来ないのではといった考えが脳裏を横切った。

市場を歩きながらそのことを考えた結果、夜行列車に乗って次の目的地を目指すことにした。

ガーナの鉄道網はここクマシと首都アクラ、そしてこことタコラディという
これまた海に面した街の二本である。
最初のものは大阪-東京間のようなもので素っ気なさそうだったので、後者のルートに決定。

クマシの雰囲気が快適に感じられたもう一つの理由として、人が違うことであった。
ブルキナでは道を尋ねただけで、カドー(プレゼント)と称して、
必ず何かをねだってくるのが常であった。

事前にそのような情報があったため、空港でマルボロを1カートン購入し、
状況により、タバコを一本、二本と与えていたが、ここクマシは状況が全く異なっていた。

人のよさそうな青年に駅までの道を尋ねたときである。
彼は旅先から到着したばかりで、大きな荷物を抱えているにもかかわらず、
それをポーターに預け駅まで運ぶように指示し、私に駅まで付き合ってくれた。

更に、外国人の私には切符を買うことは困難だろうからと、手伝ってくれるありさま。
本当は二等寝台で移動するつもりだったが、切符を見ると彼が気を利かして、
一等寝台を注文してくれていた。
彼の行為に感謝して、そこは何も言わずに、素直に受け入れた。

移動に疲れているとは思いながらも感謝の意を表したく、ビールでもと誘ったが、
見事に辞退されてしまい、そのまま家路へと向かったようである。

アフリカではタチが悪いことが多い、警察や軍人も同様であった。
クマシが最後まで勇敢にイギリスの侵略に抵抗したアシャンティの人々で、
特に誇りを持った人たちであることも関係しているようだ。
そんな誇りを今後訪れた他の街でも感じることが出来た。


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