Ghana 10


今日はついにトーゴに行くぞと気合いを入れたつもりだが、
太股から下が痛くイマイチ踏ん張れない。
足はサルのお尻のように真っ赤か。きつい日焼けをしてしまったのだ。

サミーは私の汚れたズボンを見て、
「一日ビーチにいるならそのズボンをクリーニングサービスに出さないか。」
と言い、私も予備のズボンがないのを忘れて、「ああ、頼むよ。」
なんて言ったのが最初の失敗であった。

以前日焼けで背中がヒリヒリして横になれなかったことがあり暑かったが、
ちゃんとTーシャツで体を防御し、これでバッチリだと本を読んだり、
海を眺めたりし始めた。

むき出しの足はしばらくすると暑くなり、海に入って冷やしては、
ビーチでくつろぐという行為を繰り返していた。
喉が渇いたが、飲み物は持っていなかった。

 何か飲みに行くにも十分ほど歩かないとありつけないし、
サミーも私がずーっとビーチに居ると言ったから彼の姿は無く、
わざ自分でそこまで行くしかない。

でもそれではせっかくのリゾート気分が壊れてしまうと一人
どうでも良い事を考えていた時に、顔見知りになっていた少年が、
私がお土産にこれでもかともらって余っていたココナツを持って現れた。

それにしても何て気の効く奴だと彼に正直感謝してしまった。
しかもチップや何の見返りも要求しないボランティア精神。
また私の寝転がっている横でさばいてくれるという行為が、
ますますリゾート気分を盛り上げてくれた。

 一つ目は喉を潤すためで、二つ目にしてようやく味わった。
心から満足した瞬間であった。
しばらく話をした後、少年が立ち去るとどうも足がヒリヒリ
することに気づき、見てみると真っ赤に日焼けしていた。

その時初めて「まずい、もっと焼けて痛くて大変なことになるぞ。」と思い、
部屋に戻ることにした。
体についた砂を洗い落とそうと海に入った瞬間、
突然押し寄せたた大波によって、なんと部屋の鍵を波に攫われてしまった。
しかも水深が1メートルにも満たない浅瀬で。 二つ目の失敗。

 後で聞いたところ、その日いたもう一人のドイツ人観光客も、
私と同じ目にあったから、仲間がいてよかったとほっとした。
そうだ、サミーが昼過ぎにまた戻って来るといっていたなと、
時計を見るともう1時もかなりまわっているじゃないか。

「あのばか野郎めと、もうトランクスでもこんな田舎だから構わん。」
それにこの柄であれば誰もカイパンと思うに違いない。
でないと日焼けが進行してしまう。」

私は長めのティーシャツにトランクスといった格好で道を歩き始めた。
最初の家族連れを追い抜く時は恥ずかしかったが、
メインロードで一言二言交わしているうちに、
「なんだ、だれも私が別にトランクスで歩いている何て考えていないぞ。」
と勝手に解釈すると、堂々とサミーのいるであろうバーに向かった。

彼は私のズボン脇にビールを友達と飲んでいた。
私の顔を見て初めて時計を見たようで私も疲れ、
とりあえずはビールを飲むことにした。

鍵も解決し夕暮れのビーチで40代のおっさん達に、オギノ式避妊教育や
他の姓に関する質問に答えていた時からどうも悪寒で気分が優れなかった。
日焼けの痛みが効いてきた。

その夜は夢の中でも足がヒリヒリとし苦しい場面だった。
ベッドに横たわると3つめの失敗。
妻にあれだけ持っていきなさいと言われていた日焼け止めを、
そんなオカマみたいなマネはしたくないと、持って来なかった事に後悔した。


この日焼けで大変な目に遭うとは、その時は想像さえもつかなかった。 


            

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