Ruissia 07

 
 三度目の正直にしてようやく赤の広場に入れた。
先ほど眺めたクレムリン(大統領府)にかつての政治的威圧感を感じなかったのはあまりにも
至近距離から眺めたからで、赤の広場からだとここの雰囲気とあわせてかつての東側の政治の
総本山の面影を感じることが出来た。

 赤の広場は赤い建物だらけ、ソビエト革命にちなんで命名されたわけでなく、ロシア語の「赤」には、
美しいといった意味が含まれており、実質的にこの広場は「美しい広場」と命名されていることになる。
長さ700mもある広場の端のほうに建っているロシアのシンボルである、玉ねぎ頭をした寺院が有名だが、
私はそこを訪れるまで、ワリシー聖堂という名前を知らなかった。



 しばらく前に呆然と立ち尽くしてしまうほど、美しい建築物であり、この二人の建設者が完成後にツアー
によって二度とこんな見事なものが、造れないようにと両目をくりぬかれたのも、可哀相だが納得してしまう。

 赤の広場を場所を変えて何度もあらゆる角度から、寺院を眺めた後、クレムリン城壁沿いにある
アレクサンドロフスキー公園を通ると、一組のウエディングドレスを着たカップルが花を供えていた。
よく見るとそこは無名戦士の墓があり、式を挙げた新しい夫婦が献花をするのが、習慣的になっている。

 ただ気-10度のせいもあり、ドレスの上にはダウンジャケットやジャンパーを羽織っていたのが、
北国らしかった。

 外気により体が冷えてきたこともあり、屋台のホットドッグで体を温めるだけでは不十分で、
ウズベキスタンの首都タシュケントにもあったツムというデパートに入ってみた。ここは一体どこなんだ、
少なくともロシアの雰囲気がなく、照明がかなり明るく輸入品が多く、雰囲気も日本のものとそう変わらなかったが、
庶民の生活レベルを考えると、値札の桁が、一つ、二つ多いのではないのかというのが、正直なところで、
大きい携帯電話の料金は、大体24000円であるにもかかわらず、電話を求める人々でそのコーナーは
とても混雑していた。他の商品も輸入品だけあり、EU諸国よりも値段が高かいし、モノによっては料金と
質がつりあっていないものもいくつか目に付いた。

 昨日訪れたホテルの近くのイズマイロボ市場が庶民のものとすれば、こちらはニューリッチご用達
デパートであった。

 一日中歩き続けて疲れたこともあり、今夜の夕食も昨日と同じボルシチをまたもやテイクアウトしてしまった。

                              ☆

 モスクワはイルクツークに比べるとずっと暖かいのだが、都会であり、大きな建物の合間を通ることも
多く、たとえ-10度でも吹き抜ける風により、体感温度がかなり低く感じる。そのため、風邪の治りも遅く、
薬で頭がボーっとしているため、今夜の夜行での移動に備えて、ホテルで11時までゆっくりとくつろいだ。

 まずは電話局に向かい家族に元気で旅を続けているといった一報を入れた。
都会で一人でレストランで食事をするのも、虚しかったので、モスクワの新しいシンボルとなったマクドナルド
のあるアルバート通りへと向かった。

 最初は右側にしかお店がなく大したことないなと進んでいると、レストラン、商店、露天商など結構な
賑わいを見せていた。パステルカラーの可愛い建物が建ち並ぶこの通りに木造の外見をしたレストランを
見つけ、メニューを見てみるとこれまでと比べ物にならないくらい高く、200Pを超え、私のお気に入りの
15Pのボルシチが何杯食べれることやら。

 他のところをチェックしながら歩いていると、外務省の向かいにあるマックがあった。
外にまで行列こそなかったが、中はかなり混雑していた。早速ビッグマックメニュー78P(約320円)を
モスコビッチ(モスクワっ子)にならって試してみることにした。

通常ただでもらえるケチャップが5Pとセコかったが、飲み物とポテトは体の大きなロシア人にも満足
出来るようになのか特大で、しかも私の大好きなデザートにブルーベリーパイが、付いていたからかなり
お得で食べ応えがあった。

 食事の散歩にと旧コメコン本部(現モスクワ市庁舎)、91年のクーデター事件で有名なロシア連邦内閣ビル
と、広い通りの両側に合計9つの20階級のビルが並んでいる、社会主義の都市計画は素晴らしいことを
宣伝するのに都合のよかった新アルバート通りを歩いた。特に右側はデパートやショッピングセンターも並び、
旧西ベルリンの銀座通り、クーダムのような雰囲気があった。 この通りを歩いているとモスクワがいかに
東側のリーダーだったといるパワーを感じる。



 ひたすらまっすぐに歩いているとクレムリンに突き当たり、再び夕方の赤の広場に向かい写真を撮った。
その後ホテルに荷物を取りに行き、次の目的地であるビリュニュス行きのでるベラルシー駅へと向かった。
 モスクワのメトロはキリル文字に慣れるとすごく使いやすく、環状線のおかげで無駄なく目的地に到着できる。
地下鉄の駅はガイドブックににも記載されている通り、美術館みたいな感じだったが、すでにタシュケントで
メトロを体験済みだったので、特に感動はなかった。

 一つレストランを例に簡単に紹介しておくと、RESTAURANT は PECTOPAHとなる。じっくりと観察すると、
R=P, S=C, N=Hと変わっている。このようなコツをつかみ、若干の例外を覚えると行動範囲が広がるばかりか。
地元の人しか行かないレストランでも好きなものが食べられた。



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